休止にあたりお騒がせしています。
気分転換にこういうのを執筆しています。
冒頭部分だけですけど、書き続けている事をご心配頂いた方に報告しようかと。
よければ、読んでみてください。
今のところ54K文字まで書いてます。終わり方が見えてこないのが難点です。
◇
「終わった〜」
疲れ切った声が部屋の中に響き渡る。
私、橈乃宮 妃桜（かじのみや ひおう）、二十三歳は昨日から、断続的ではあるが実時間で二十時間を超えるFD（フルダイブ）VRMMOの世界から現実世界に戻ってきた。
達成感よりも疲れにとらわれている。ハッキリ言おう、クソゲーだったと。
ゲームバランス悪すぎ、レベルもスキルもカンスト前提かってくらいに鬼畜。元々のVRMMOタイトルの時はもう少しマシだった。
どうして私が一度クリアしたタイトルをフルダイブになったからといってプレイしているかというと、簡単に言ってバイトだ。
父親の経営する会社『Radius』からフルダイブマシンが出来たからテストしてくれと言われたのが一週間前、ニートで穀潰しと化していた私はお小遣い稼ぎと即、了承した。
カプセルのような機械に羊水を充したその中に浸かる。レオタードのような専用の着衣と円環に羞恥を覚えたが、小遣いには変えられない。
一応、モニタリングされているのと、連続して二時間戻ってこないとアラートが表示され、三時間になると強制的に戻されると事前説明は受けた。
そして最初のダイブの時に、『ようこそ、アナザーワールドへ、貴方は聖女となり世界の穢れを———』某VRMMOゲームのオープニングが流れた。
あれ、『聖女と共に』じゃなかったっけ？
このソフト、キャラクターデザインに有名な作家さんを起用しているのと、新参ながらも別タイトルがヒットしたソフトメーカーが制作を務めるということで、事前人気も高かった。
例に漏れず私も発売日に並んだ。そうネットで買えるのに、今時、開店前から並んだのだ。先着購入特典のドラマCDが欲しかった、訳じゃない。いえ、ホントは少しだけ気になってました。
そして、いざ聖女としてプレイを始めると序盤はいい、ストーリー展開もテンポ良く、没入感も高くて楽しめた。中盤を過ぎるまでは。