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時代の流れは私の想定よりも早い―『にじさんじ』さんと『ホロライブ』さんの共同声明について―

 タイトルの繰り返しになりますが、時代の流れは早いですね。
『にじさんじ』さんと『ホロライブ』さんの共同声明は、ニュースになっていたので知っている方も多いと思います。
 この二つの二大VTuber運営がVTuberへの誹謗中傷について共同声明を出しました。

 まとめサイトの管理者などにも話をつけたとのことです。
 おそらくデマや誹謗中傷を放置した場合の法的措置なども含めた話し合いだったのでしょう。
 個人的な意見を言わせてもらえれば『大賛成』です。
 ただ私の想定では訴訟は起っても、事務所が率先して動くのか懐疑的でした。共同声明は業界が大きく動いたという印象です。
 だからタイトルに私の想定よりも早いと書きました。

 さて今回の件と法的措置について四つの論点から賛成の理由を書きますね。

〇人権
 当たり前ですが、誹謗中傷やデマはいけません。

〇法的
 以前からVTuberへの人格攻撃は対象が「人」か「キャラクター」かで裁判が行われています。
 その結果として人格が認められるので、名誉棄損が成立する判決が多く出ています。
 つまり犯罪です。

〇経済
 VTuberは人気商売です。
 デマや悪評の垂れ流しは明確な業務妨害になります。
 配信での粘着も「厄介なファンが集まる配信」と思われただけで、純粋なファンは離れていきます。ファンは純粋に楽しみたいだけですし、悪質なアンチとコメント欄で戦うのはマナー違反という認識もあります。ですのでアンチは放置され、不快な思いをしたくないので見なくなることもあるでしょう。
 こちらも悪質な業務妨害です。
 一回の配信で何百万円(記念配信などの記録を参考)もお金が動くトップVTuberです。投げ銭などは配信の空気に左右されます。アンチの書き込みが続けば実際の被害額として何百万円にものぼるでしょう。もっと酷いかもしれません。
 そのうえ演者が引退に追い込まれればどうなるでしょう?
 運営からすれば、その先稼ぐかもしれない何千万円モノ被害額になります。
 許せるわけありません。
 事態が酷くなる前に法的措置を取れる体制を作りが必要です。

〇数の問題
 現在のネット社会で誹謗中傷に対して性善説対応は意味がありません。
 モラルやマナーに訴えかけても無駄です。
 勘違いされがちですが、日本のネットは海外と比べても凄くマナーがいいです。
 ノイジーマイノリティの声が大きいだけで、多くはサイレントマジョリティですし、論理的な書き込みが多い方です。
 誹謗中傷なんて全体の一割にも満たないでしょう。コメントを書き込まないサイレントマジョリティを入れると『1%』ほどだと思います。
 けれど十万人の目に触れれば、『1%』でも千人から誹謗中傷を受けることになります。
 対象が百万人ならば一万人からです。
 モラルとマナーが向上して、誹謗中傷をするのが『0.1%』になったとしても対象が百万人ならば千人から誹謗中傷を受けることになります。
 人間の精神の許容量は全体の割合で増えるわけではありません。
 千人から誹謗中傷されれば普通に病みます。
 長く続けてファンが増えれば、それだけ長い期間誹謗中傷を受けることになるわけです。いつか病みます。
『0.1%』は千人に一人です。これだけ割合が減ってもノイジーマイノリティは目立ちます。口汚い誹謗中傷は心の傷としてずっと残り続けます。誹謗中傷はなくなりません。
 マナーとモラルは大切ですが、単純に数の問題として性善説に沿っていてはネット社会に対応できません。

 事務所が表立って動いて、ロジカルにリーガルに法的措置を取らなければ演者の精神は守れません。
 これが私の結論だったので、今回の件は大賛成なのです。

 なぜ急にこんな話題を近況ノートに書きこんだか。
 一応、理由があります。
 私が連載中の『引きこもりVTuberは伝えたい』ですが、書こうとしたきっかけに関係があるのです。

 最初はVTuberモノを書こうと、調べていただけでした。
 けれど普通にグーグル検索をするとアンチ情報が目立つんですよね。
 特にVTuberの不祥事ネタと精神的に病んだという話が目に付きました。
 これは好意的な書き込みをする人はSNSとファンコミュニティに集まっているからです。純粋なファンは集まりの場があるし、生配信中のコメント欄で発散できます。
 わざわざアンチの多いまとめサイトなどを見に行きません。
 その結果として、普通に「VTuber」で検索すると不祥事ネタと精神的に病んだ話ばかりを目にします。
『VTuberへのアンチが多すぎる』という印象を受けたのが始まりでした。

 実は内容もそれに沿っています。
 第一章は一般人として受けたネット冤罪。
 最終章である第六章ではVTuberとして誹謗中傷とデマに晒される予定です。
 ただしシリアスは迷子です。
 全体的にコメディです。でも話の展開として主人公がこの作品中で初めて激怒し、盛大に暴走します。
 そういう最終章を想定しているので、主人公の名乗りが『世界に叛逆を目論む暴走型駄メイドロボ』です。

 念のため補足として。
 第二章で激怒していたのではと思われるかもしれませんが、第二章は混乱して迷走しただけだったりします。
 だから攻撃的な対応をせず逃げ回っていました。
 主人公は引きこもりたいと思っています。
 けれど潜在的に「普通への憧れ」「外に出なくてはいけない」という想いもあったので、作中でも「外に出なさい」を「正論」と書いていました。だから割とあっさり家の外には出たんです。ただし疲れるので、用事がなければずっと引きこもってますが。

 そういう構想だったので現実の運営の動きや裁判の判決などが「私の想定よりも早いな」と。
 むしろ遅かったのかもしれませんね。
 第六章の内容を変えることはないですし、今回の件はあまり関係しないはず(一部まとめサイトの表現はマイルドになるかも?)なので影響はないのですが。
 ただやっぱり『演者を守るためには今回のような運営の動きは必要だよな』と感慨深いものがあったので、今回は近況ノートに書き込みました。

 たぶん今後は厳格なコンプライアンスの制定と名誉棄損や業務妨害などの具体的な訴訟も増えてくると思います。
 多くは示談で済むと思いますが、損害賠償として何百万円を請求される事例も出るかな。たった一回の書き込みではそこまでいかないと思いますが、粘着行為はアウトですね。VTuber業界の経済規模を考えれば、アンチ行為の損害額はかなり甚大ですから。
 誹謗中傷やデマは絶対にダメ。

6件のコメント

  • 引退に追い込まれるVTuberが減ることを切に願っています。
  • v業界は初期の頃にニコ動の延長線でやっていたので、過去に色々やらかしています。

    大きい事だと、ゲームメーカー無許可の実況や、カラオケ音源作者に許可なく歌ってみた投稿、某Vの中国騒動時の謝罪文に一つの中国の尊重と書いたことなど、小さい事柄も含めると絵師などへの報酬不払いや上記騒動のまとめ記事へ企業として圧を掛け掲示板を閉鎖させたりもしてます。

    なので潜在的にそれらに関わるコミュニティへの印象が非常に悪くアンチへと繋がっています。

    タレントへの誹謗中傷も、純粋なその人へのアンチもあるでしょうが、上記の過去のやらかしに起因する部分も大きいと思うので、誹謗中傷への対処と並行して過去への禊や被害にあったコミュニティへの心情的なカバーもして頂きたいというのが私の本音です。
  • いちごオレ様

    私もその辺りのことがあるから、事務所側に期待してなかったんですよね。悲観的というかシビアな感想しか持っていない。
    だから自分の作中では「コンプライアンス(法令順守)」という言葉を何度も使っていたり、一期生がプレイングマネージャー的な立場で風通しの良い事務所にしています。
    タレントと事務所の対立や事務所の横暴は書きたくないので……。

    実は「おっさんサバイバー」を書いたのもその辺りの狙いがあったり。専務というトップクラスの役員が率先して、表に出てバカをやるんです。頭がおかしい。でも演者と事務所間で話が通じそうなイメージを持ちやすいので。

    >過去への禊や被害にあったコミュニティへの心情的なカバー

    これに関しては今も期待できないですね。
    ただ違法なコンテンツや不払いに関しては、VTuber側も規制が強くなると思っています。
    まとめサイトに関しては本当にダメなことを載せて稼いでいるサイトがあるので別として。
    法的措置に頼ると、自分たちの違法行為も糾弾されやすくなります。
    コンプライアンスの強化しないと自分たちが詰む立場です。
    たぶん現在進行形で事務所からのVTuberの演者への締め付けは強くなっていると思いますよ。
    それを嫌がって辞める人も多くなるかも?
    基本的に演者は弱い立場で契約してますし、事務所側にコンプライアンス順守のノウハウがあまりなさそうなので「前はできたことが今はできない」など軋轢も多くなります。

    中国に関しては完全にお金ですね。政治ではなくお金です。
    中国資本のゲーム会社から案件をもらっています。つまり大口の取引先です。お金をもらう立場なので弱いんですよね。今後もそういうスタンスでしょうし、改善しないでしょう。
    ただ政治の問題を含めた今後の展望として、この数年で中共が「国民への文化開放」の路線から「封鎖」の路線にシフトしたので、どうなるかは全くわからないです。中国のゲーム会社とか業績好調でも、政治的意向で規制にあってサービス継続不可になってかなり潰れていますからね。あまり表に出ない中小の話ですけど。

    そしてもっと言ってしまうと、不払いやパクリなどの問題はVTuberだけではなく動画配信(投稿)コンテンツ全体に蔓延る病巣なんですよね……。結局ネット関連の法的整備が遅れている問題が大きい。
  • 返信ありがとうございました。

    不払いに関しては明白に違法なので、然るべき機関に訴えれば一応お金は貰えるでしょうし、裁判沙汰にでもなれば信用が急落してまともに仕事を受けてもらえなくはなるでしょう。

    ただ、パクリに関しては色々と難しいところなので法的な解決は現状不可能だと思って良いかと思います。

    事務所との対立についてですが、実際事務所とタレントの対立というよりも、事務所と(事務所による)被害者その取り巻きの対立に面白がって乗る部外者、それに巻き込まれるタレントのような構図に見えて、タレント置き去りで事態が進行しているような感覚に襲われます。

    コンプラに関しては現状でもほぼルールが完成していて、これ以上厳しくなることはあまり無いのではないかと思います。
  • パクリはそうですよね……
    著作物をそのまま引用しない限り、配信ネタのパクリを規制する法律がないので。

    コンプライアンスに関しては少し言葉選びをミスしたかも。
    もう少し丁寧に書くと「正規の意味のコンプライアンス」です。
    つまり「法令順守」。
    「不払いや無許可の使用をするな」などの明確な違法行為。
    「企業案件で知った情報を漏らすな」などの守秘義務や契約違反。
    「ファンに手を出して不倫した」などの私生活での倫理的な違反。
    などの当たり前な「法律に反しないように」が厳しくなり、事務所の監視や締め付けがきつくなる意味で使っていました。
    この辺りがきつくなるとどこの業界でも、身動きとりにくくなるし、何をするにも書類や手間が増えて、仕事量が増えるんですよね……。

    テレビのバラエティでお馴染みになってしまった広義の意味「自主規制」のつもりではなかったです。
    よほどの卑猥や炎上、迷惑系でない限り、活動内容を縛る「自主規制」の方のコンプラはもう少し緩くていいよねとか勝手に思っているぐらいなので。

    事務所とその被害者の対立は凄くややこしいですね……。
    面白がって乗る部外者に関しては「ネット社会の悪い部分」そのものなのでなくならないでしょうし。
    個人の不祥事などのシンプルな構造ではなく、裏切りと不義理など積み重なった不信感なので。
  • 法令遵守に関してはより厳しくなるというのは同意です。

    ですが、過度な監視など事務所が個人のプライベートを縛ることは契約的にも法的にも褒められたことではないので、どこまで行動を縛るかというのは問題になるところでしょう。

    アイドルの恋愛禁止などが最たる例ですが、仮にルールを破ったとしても、誰もそれに対して罰則を与えることはできず、あくまで慣例的な同意で自主的に退職しているというだけですし、それを行うと事務所、タレント双方に炎上というダメージが発生します。

    テレビなどの自主規制に関しては私も緩めていいと思っています。

    対立に関わってくる部外者そのものはどうしようもないですが、双方が和解して騒動そのものを無くしてしまえばそこに便乗すること事態が不可能になるため、理想的な騒ぎの収拾を図るならば加害者と、被害者双方を配信に引っ張り出して皆が見ている状態で謝罪から和解が究極的な理想となります。

    まあ、どう考えても不可能なので最低でも事務所の社長でも引っ張り出してきて謝罪&釈明配信を取り一通りの批判を浴びて手打ちにするのが妥当なラインかと思います。
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