カクヨム
はじめまして。 英令目野ピイと申します。 簡潔に「なぜ書くのか」というお話をさせていただきます。 (という軽い気持ちでキーボードを叩き始めましたが、文字数制限が1万字ということを知り、「なに!? 1万字? ……しめしめ」とさっき「簡潔」といった舌の根も乾かぬうちに、つらつらと書き続けてしまいそうです) 以下から本文です。 小さな頃から夢見がちで、気づいたら空想に浸っていました。 幼稚園から小学校と、生活環境が変わるたびに「いつになったらお人形劇や子供向けアニメのような世界に行けるのだろう」と考えていました。 卒園式、卒業式を迎えると、「よし! 明日からはお人形劇の世界だ!」と期待に胸ふるわせ、しかしそれは叶わずということを大学卒業まで考えていました。正直に白状しますと、今でもまだ考えています。 漫画はよく読みましたが、えっと、あれ、なんていうんだっけ、字だけがページにびっしりと縦に並んでいるあれ……そう、本です、本です。本はあまり読まない子供でした。(このように思考が勝手に文章の中に漏れ出してしまうことが悩みの一つであります) 中学から高校にかけてギターにはまり、音楽の道を志したこともありました。 高校から大学にかけてコミュニティFMのラジオ局でパーソナリティを務めたこともありました。 しかし、本は読みませんでした。私が目を通す印刷物といえば、せいぜいカレンダーくらいのものでした。月に一度だけ一ページめくるのです。 私が恐る恐る本を読むようになったのは、大学に入ってからでした。 そこに至るまでを簡単にご説明いたしますと、まずはギターがありました。音楽活動をしていたことからラジオパーソナリティになり、ラジオ番組を持ったことで面白く話すことを目指すようになり、相方のような人と漫才やコントのようなおふざけをするようになりました(このとき音楽番組をやらなかったのはいったいどういうことなんでしょうね)。 いつもラジオ放送用の原稿を書いていましたが、書くものが漫才→コント→ラジオドラマと少しずつ物語めいたものに変わっていったように思います。そこから小説などを読み始めました。 ここで一度、話題の転換。 いったん話題は横道にそれますが、あとで必ず戻ってきますので。ですからさっきまでの話題という荷物を少しの間、預かっておいてください。必ず元気な姿で戻ってきますから!(このあと旅の途中にドラゴンに食い殺されるというフラグを立てたわけではありません) 誰もが自分にとっての理想というものを持って生きていると思います。 理想的な生活空間、理想的なパートナー、本当に大好きな食べ物、自分の趣味嗜好とばっちりはまるミュージシャン、アーティスト、クリエイター。 そしてそれは誰もが共通するというわけではなく、各個々人のセンスや好みによって変わってきます。私にとって「おぉ……この服は神だ……」と思えるゴリラがウンコを投げつけている絵がプリントされているTシャツが、また別な人から見ると「なにこれキモ」の一言で片づけられるということも往々にしてありえます。 なかなか現実は思うようにいかなくても、誰もが自分の周りを自分の好きなもの、理想とするもので固めたいと思うはずです。 しかも、自分の理想とするものと完全一致! これ百点満点! というなにかに出会えたときは、快楽物質が脳内にあふれ出し、身も打ち震えるような感動を抱き、口からはよだれをたらし、もう天にも昇る最っ高の気分になりますぅぅぅ!!!(このあと怪しげなドラッグを売りつけるような展開にはなりませんのでご安心を) 自分にとっての最高のもの、理想的なものを見つけること。それは、いわば、ゴールです。 結婚をゴールと表現することがありますが、もうこれ以上自分にとって最高の人はいないと判断した結果の結婚なので、これはやはりゴールなのです。(例外があることはここではあえて割愛) ここでようやく先ほどのお話に帰ってまいります。村人たちが手を振って私を迎えてくれていることでしょう。預かってもらっていた話題という名の荷物を開けます。うっ。ちょっと臭うな。腐りかけてるな。もうみんなさっきの話なんか忘れてるな、絶対。 音楽やお笑いというジャンルにおいて、私の中で「最高」「満点」「この人が究極生命体」と思える存在がすでに複数名いらっしゃいました。(カーズってギター弾いてたっけ? というご指摘は受け付けておりません) 私が指先を痛めて弦を押さえる必要もなければ、某有名漫才師のネタを分解してボケのタイミングやパターン、ツッコミの間やバリエーションを研究する必要などなかったのです。 そのことに気がついたとき、好きなものがすでに存在しているという喜びを感じたのと同時に、心にぽっかりと穴が開いたようなうらさびしい気持ちになったことを今でも覚えています。 では、小説というジャンルにおいてはどうか。 目から鱗、いや、それどころか目から目玉が、そのあと脳みそが、飛び出すほど驚く結末を用意してあるミステリーや、まるで自分が主人公となり替わったかのような錯覚を抱かせるほど文章の魅力的な人間ドラマなど、数多くの名作が存在していることはわかりました。 たくさん読み、たくさん笑い、たくさん泣きました。ですが、自分の中で理想とするパーフェクト物語というものには、いまだ巡り合えていないように思えます。 おそらく、そんなものはどこにも存在しないのだと思います。 私が求める私のための物語とは、私にしか書けないのではないかと感じたのです。 冒頭に書いた「簡潔に」という言葉が大嘘だったことはもうすでにおわかりでしょうが、ここにきてようやく簡潔にまとめられそうです。 「なぜ書くのか」 それは、「出会いたい物語にいつかきっと出会えるから」 まだまだ文章も下手くそですし、誤字脱字もありますし、知識も足りないですし、スマホはすぐにどこに置いたか忘れますし、どこに置いたか忘れたことを忘れますし、今何を書いているかも忘れてきましたけど、理想とする物語を目指して、日々精進していきたいと思います。 そして、こういった場をお借りして書いたものを発表することで、普通に生活しているだけでは決して交わることのなかったどなたかの目に留まることがあれば幸いです。 たった一人でも「おもしろい」と思ってくださったのなら、ひょっとするとその物語はその方へ向けて書かれたものなのかもしれません。 たった一人のどなたかのために。 令和3年7月1日
小説初級者です。 趣味で書いていたらいつの間にか結構な数の作品が貯まっていました。 最近の目標は『目指せ100作品』です。 貴方の心に寄り添う作品が埋もれていますように。