クローズドサークルの本格ミステリを書きました。
出発点は、読書中の、ある体験です。
アガサ・クリスティの『そして誰もいなくなった』を読んでいる途中で、
自分なりに「こういうトリックなのでは」と考えたものがありました。
読み終えて、そうではないと分かりました。
その考えは行き場を失ったのですが、
しばらくして、こう思ったんです。
――なら、自分で書いてみよう。
そうして生まれたのが『完璧な観察者』です。
崖に囲まれた山荘。吊り橋は落ち、通信は断たれ、
救助が来るのは早くても二十一日後。
閉じ込められたのは、金融エリート八人。
書きながら決めていたことが、ふたつあります。
ひとつは、トリックだけを重点的に描かないこと。
八人には、それぞれ個性と特徴を持たせ、
一人ひとりを深掘りするようにしました。
ファンド代表、銀行家、弁護士、公認会計士、
戦略コンサルタント、経済ジャーナリスト、
インフルエンサー、そして山岳ガイド。
肩書きだけの駒ではなく、
名前と顔のある人間として書いています。
もうひとつは、フェアプレイに徹すること。
手がかりは、すべて作中に置いてあります。
読者に隠したまま真相だけを明かすことは、していません。
誰が死ぬのか。誰が犯人なのか。
ぜひ、推理しながら読んでみてください。
第一話:https://kakuyomu.jp/works/2912051605911384038