春から夏に移り変わりるこの時期、特有の匂いってありますよね?
僕は中学卒業と同時に家を出て、高校から寮に入ったんですよね。
環境の変化について行けず、初めてホームシックってやつに罹った経験が、甦るんですよ。
この匂いを嗅ぐとね。
すっごくお母さんが恋しくて。
お母さんが作ったご飯が食べたくて。
口うるさく叱られてた事も。
何もかも恋しくて。
部活があるから、そうそう帰省もできないし。
何度も寮の公衆電話から、母に電話をかけた思い出が蘇ります。
何て電話をかけたかって言うと。
『具合が悪いから迎えに来て』
とか
『もう、帰りたい』
とか。
そんな事を言ったような気がします。
その度に、母は笑いながら『頑張れ』って励ましてくれてたような気がしますけど。
一度も迎えに来てくれた事はなかったですね。
この匂いがまたやって来たなって(笑)
僕はたぶん、一生この季節になると、この鬱々とした感情を蘇らせるんだろうなって思います。
小説では、この季節、晴れ晴れとしたシーンを書く事が多いですけどね。
青々とした若葉が茂り、空は澄み渡り――みたいな。
けど僕は、この季節大嫌いです(笑)