エレクシアが履く尖踵(ハイヒール)。
後世においては「装飾靴」「社交用履物」として知られるそれは、本来、靴ですらなかった。
一説に、糞尿(ふんにょう)を避けるために踵(かかと)を高くした、などと語られるが、それは平和な時代に生まれた、あまりにも浅薄(せんぱく)な俗説である。
あるいは――それ自体が“牙を隠すための偽装史観”であった可能性も、否定できまい。
真の起源は、古代において用いられた、対男専用の|戦装束。
男の重装甲が最も脆弱となる股間装甲の死角”。
そこへ正確無比に打ち込むため、踵は刃の如く削がれ、体重、踏み込み、回旋力のすべてを一点に集束させる構造となった。
特に、宮廷・宴席・舞踏会といった「武装を解いた男が油断する場」において、その威力は絶大であったという。
――そして。
なぜ現代においても、女性が“勝負服”としてハイヒールを選ぶのか。
それは単なる流行でも、美脚効果でもない。
言うまでもなく、遠い古代、男を屈服させた戦士の記憶が、血の奥底で微かに呼応するからである。
事実、多少なりとも武の心得を持つ男ほど、無意識に“間合い”を測る傾向がある。
鋭く削られた踵、硬質な足音、床を打つ乾いた衝撃音。
それらは本能の深層に眠る警鐘を鳴らす。
遺伝子に刻まれた敗北の記憶が、説明のつかぬ緊張として現れるのだ。
ゆえに、達人ほど、女性のハイヒールの音にわずかに身構える。
なお、“ハイヒール”の語源については諸説あるが、そのひとつに、 古代女帝“Horai Hīria”(ホライ・ヒーリア)の名に由来する、という説がある。 彼女は対男戦術の完成者と称され、 その専用戦装束尖踵(せんしょう)をもって数多の勇将を屈服させたと伝えられる。
☆ 描詠書房刊『古代宴席武装史概論』より
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ゲームの対エレクシア戦では、パーティーに男性キャラクターが含まれている場合、最優先で狙われ即座に戦闘不能となる。
女性のみの編成で挑むか、オリハルコン以上の下半身装甲を装備する必要がある(推奨Lv80以上)。
なお、男勇者ルートにおいて正面突破は事実上不可能。戦闘回避ルート(別章にて解説)を選択するのが唯一の攻略法となる。