本編11話
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――覇天撃竜拳 (はてんげきりゅうけん)
古来より伝わるとされる対竜戦闘拳法のひとつ。
この拳法は、はるか古代―― 竜族が大地を支配していた時代、その討伐を生業としていた 「竜殺しの一族」 によって編み出されたと伝えられる。
竜は巨体を誇り、その鱗は鋼鉄をも弾く。
通常の武器では傷ひとつつけることができない。
だが竜には唯一の弱点が存在する。
それが下顎の付け根である。
竜が咆哮を上げる瞬間、わずかに開くその隙を突き、 全身の闘気を拳へ集中させ下方から上方へ突き上げる。
この打撃によって竜の頭蓋は内部から破壊され、
巨体は大地へと崩れ落ちるという。
この技を修得するためには、幼き頃より 巨石殴打、鉄柱突き、鎖吊り鍛錬 などの過酷な修行が課される。
その衝撃は竜の骨格すら砕く威力を持つため、
未熟な者が使えば自らの腕の骨が砕け散るとも言われている。
なお伝承によれば、かつて一人の勇者が 世界を恐怖に陥れた竜王を前にした際、剣も魔法も用いず、この拳法ただ一撃で竜王を打ち倒したという逸話が残る。
現在この拳法はその継承者が途絶えたとされ、幻の技とされていた。
しかし―― 今、再びその拳が密林の地で放たれたのである。
(描詠書房刊『古代拳法秘録』より)