『あしたはどっちだ』の脚本を手掛ける泉隼人。
彼はアメリカの80年代のヒューマンムービーに憧れてアメリカに渡り、日本よりも、むしろアメリカで脚本の実績を積んできたという背景があります。
そして今回、黒木から白羽の矢が立ち、
日本で「あしたはどっち」で脚本デビューを飾っています。
製作陣の黒木や大道、川崎といった熟年世代が色濃い中で、泉君のフランクな振る舞いは、ある意味で異質です。黒木は、そんな泉の「異質さ」の向こうに立ち上がる才能に惹かれたんだと思います。
「仕掛け」のエピソード回で、脚本変更をめぐって黒木と泉はコミカルな会話を繰り広げ、黒木をバカ呼ばわりできるのは、日本映画界では彼だけでしょう。その根底には、黒木と泉に「映画」という共通項があるからです。映画にかける二人の思いが、コミカルな会話の中にもジリジリとした熱となって伝わってくると思います。きっとこの時の二人の笑っている目尻は、ピリピリ痙攣でもしているはずです。
そして泉君の一人回「恍惚」のエピソードでは、もともと独立したエピソードではありませんでした。「航海」の導入部分として書いていたのですが、文章を書くときの恍惚感が、自分のことのように思えてきて、ただカフェで脚本を書いているだけのシーンですが、「航海」から独立させたエピソードになってしまいました。
きっと、書き手の皆さんにも、この「恍惚」の瞬間があると思います。それはたいてい、深夜のことなんですけど……。
そんな泉君のエピソード回「仕掛け」「恍惚」はいかがでしたか?
小説「あしたはどっちだ」は土曜日午後8時に連載しています。