これは第74話の裏話です。
第74.5話かな?
なんとなく、書きたくてかいてみたけれど、うまく表現できなくて
内容がアレなのもあって、
こちらに載せてみます。
お目汚し失礼いたします。
◇◇◇
「親父さんに頼まれた仕事って何なんだ?」
また、北の訓練所で素の姿で訓練をするルークとフェリックス。
二人の手首には、お互いの髪色のミサンガが巻かれている。
「ん?なんかね、反王家派?の伯爵とね⋯⋯」
「反王家派?」
「若くて綺麗な男が好きなんだってさ
それで、僕に行けと言われたんだ」
カツン、と乾いた音がして、ルークの木剣とフェリックスの短剣が噛み合う。訓練所の静寂の中に、二人の荒い息遣いだけが混ざり合う。
「それって⋯⋯」
「……気持ち悪いって思う?」
フェリックスが小さく尋ねると、ルークは木剣を放り投げ、フェリックスとの距離を一歩詰めた。
「いや別に。俺は、騎士団のやつらとは何度も、そうなってるからな」
「え?ルク、そっちのひとなの?」
「そっちって⋯⋯別にそうゆうわけではないが⋯⋯
騎士団のやつらとは、遠征で長い時間極限の状態を共に過ごしたからな。何でも受け入れられるようになっていたよ」
「へえ⋯⋯そう⋯⋯なんだ⋯⋯」
「お前は?」
「僕は……子供の頃から、教えられてきたんだ。僕にそれを教えてくれたのは、父さんなんだ」
「親父さんか⋯⋯おまえんちも大変なんだな⋯⋯」
フェリックスは自分の手首に巻かれた、ルークの髪色のミサンガをそっと撫でた。訓練という名の戦闘で高ぶった熱が、今は別の種類の焦燥へと変わっていく。
あの極限状態のときの騎士たちと、フェリックスの表情が同じだと思った。
救い出したい そう思ってしまった。
「……ルク⋯⋯」
フェリックスは短剣を構えていた手を下ろし、力なくルークの胸元に額を押し当てた。その動作には、拒絶と、それ以上の飢えが混じり合っている。
「伯爵の元へ行く前に……僕を塗り替えてよ」
ルークは何も言わず、ただフェリックスの腰を引き寄せた。二人の間にあるミサンガが、互いの体温で微かに熱を帯びている。
それは愛などという生温いものではない。
獣が縄張りを主張し合うような、あるいは傷ついた者同士が互いの痛みを擦り合わせるような、硬質で純粋な確認作業だった。
「……フェック、これでいいか?」
ルークの声は低く、淡々としている。フェリックスはただ小さく頷く。
「ありがと」
明日には、偽りの顔を貼り付けて伯爵の元へ行かなければならない。そのための、「自分」を取り戻すための儀式だった。