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『暗黒竜の渇望』で第一部第八章に登場するインドラの変身シーンを書き直した。

いかがでしょう。
なお「アートマン」というのはバラモン教やヒンズー教徒にとって永遠不滅な存在。ゆえに輪廻転生する。「核」(コア)みたいなもんだ。「梵我一如」って君は世界史の授業で聞いたことないか。それがこういう意味だ。仏教は何度も前世の業を追う苦しみは否として「真我=アートマン」ではなく「無我=アートマン」説をとる。そしてインドラは仏教にも取り込まれ「帝釈天」となった。とはいえ本当は仏敵だったバラモン教の最高神であるインドラの奥義(ウパニシャッド)は真我説なのね。「真我」という言葉は単なる「真の姿」という意味じゃないのね。
これに対し仏教は無我説・諸行無常論という唯物論に近い説を唱え万物流転説、無になることで得られる解脱こそ救いと唱えた。ゆえに仏教もアスラつまり悪魔の教えとしてヒンズー教から迫害されインド亜大陸からほぼ消える。仏教徒はバラモン教・ヒンズー教側から「外道」と非難され迫害されてきたのね。

仏典ではアスラ王ヴィローチャナが逆にインドラを諭す側になっており立場が反転している。

『暗黒竜の渇望』で第一部第八章第一節 インドラ変身シーン
https://kakuyomu.jp/works/16817330647877241956/episodes/16817330647878766686

なお、ここに本当は変身開始時にインドラつまり帝釈天の真言を入れる予定だったが……真言を入れるとインドラが悪役として情けないキャラになってしまうので使えなかった。帝釈天の真言はこう言います。真言って要は呪文の事だと思ってください。

ナウマク・サマンダボダナン・インダラヤ・ソワカ

(意味:天帝インドラ様、あらゆる天部の仏に私の願いを伝えてください)

これパシリやんけ。

だからかっこ悪くなるので使えなかった。そのくらい仏教の帝釈天って実は地位が低いのね。そのそも帝釈天は最下位の地位である天部の仏だしね。天部のトップとは言え(本当は天部のトップは第六天魔王だがこの仏はちょっと特殊なので除外する)

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で、「本性を『現す』」ではなく「顕す」と表現したのもインドラは神や悪魔の類だからです。WEB上の辞書では「現す=顕す」とする辞書もありますがそれははっきり言って間違っておりまして「顕現」(けんげん)という言葉の通り仏や神が真の姿を人間の前に出す場合に使う言葉は「顕す」です。
もちろんこういう仏教学用語を知らなくても読めるラノベになってるけど知ってるとより楽しめるようにも出来ています。

なおゾロアスター教ではインドラはアンダルという魔王でありしかも7大魔王の1人である。逆にヒンズー教では悪魔とされたアスラはゾロアスター教ではアフラとなり最高神となったりミスラという太陽神となる(仏教ではミスラは弥勒菩薩の事である)。

このようにゾロアスター教国勢(ペルシャ側)とヒンズー教国勢(インド側)はインド亜大陸で果てしない戦を幾度も繰り返した。ゆえに仏教はこれを修羅場と呼んだ。そう、アスラは仏教に取り込まれたときに「阿修羅」となったのである。

もう2008年から書いたこの『暗黒竜の渇望』を書き直すことは無いと信じたいがここまで文章が進化したことを読者にご報告したい。実に執筆から15年もかかった。

また第一部の序編に出るカーグが持つお金は「種銭」と書き直しさらに少し意味を含ませることも行った。

本当に類義語辞典を駆使したおかげで漢字の勉強にもなるしダークファンタジーとしての風格を持たせることが出来た。類義語辞典、ありがとう!

万が一……宗教用語や歴史用語が分からないという時の場合にちゃんと部の終わりに用語解説話があるからちゃんと用語解説を読みながら読んでほしい。数話だけ読んでブラウザバックって本当、もったいないから。何のために「用語解説」とか「参考文献」ってあるのかちょっと僕は考えてほしいかなあって。


第一部 作品解説 (真我と無我の説明を追加)
https://kakuyomu.jp/works/16817330647877241956/episodes/16817330647878865677

また第一部の解説部分にも「雪山童子」の部分にルビをふって「雪山童子」(せっせんどうじ)と読者に配慮することにしました。「雪山童子」は「いろはにほへと」の故事になった有名な説話ですが戦後教育は政教分離の原則からこの雪山童子の説話を小学校で勉強しないために「雪山童子」の名前が読めない人が特に50代以降に現れてしまったからです。

以上、既存作品のさならぬ向上を行ったことを読者の皆様にご報告いたします。

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