「ちょっと、放してください」
読者は九乃カナの手を振り払った。
「なんだい、セクハラだとかいうのではないだろうね。わたくし、セクハラと言われたくらいではビクともいないけれど。メタルハートの持ち主なんでね」
「なんで読者を巻き込むんですか」
「ほかに思いつかなかったから? リアルタイムっていう小説は逆に、思いついてしまったからはじめたのだ。ネタが思いついたら読者だって巻き込むのさ」
ここはニカッと笑うところだが、九乃カナの表情はかわらなかった。ずっと無表情、たぶん作り物だ。CGかな。
「ちょっと付き合いで読んであげようと思っただけなのに、ひどい。ここはどこですか。もう次の小説読まないといけないのに。カクヨムコンで忙しいんですから」
「それはわたくしも同じ。こんなアホ小説をリアルタイムで書いている場合ではない。だが仕方ないだろう、挑戦は受けて立たねばな!」
サムアップされても読者はしらけたままだ。
「どうやら近況ノートに死体はいないようだ。次に行くぞ」
九乃カナは読者を次の世界に突き飛ばした。軽くだよ? 軽く。
https://twitter.com/Kyuno_Kana/status/1466412563609137155