申し訳ありません。
見返してみたら『古代都市編 第29話 その愛が欲しい』の内容と『ラルクエルド教国編 第35話 サラとノルド』の内容が盛大に矛盾していることに気付きました。
話の内容としては最新の話の方が作者的に合っているので、古い話の方を改変します。変更前の内容をここに残しましたので興味があれば見比べてください。
以下、『古代都市編 第29話 その愛が欲しい』で削除された文章の内容。
「サラ、お前の事が好きだ」
「……え?」
「一番愛している」
星空が良く見える夏の夜。
一人の少年が勢い良く目の前にいる少女に告白をする。
目の前の少女の事が好きなのは、好きという言葉を知ってから自覚していた事だ。これまでも自分の思いを包み隠さず口にしていたが、それでもこの告白は少年にとっては初めての告白。
つい先程、少女から勇者に対するを思いを聞いたばかりだ。
彼女の気持ちに、自分はいない。それでも無意識に泣く彼女を泣き止めさせたくて、そしてそれでも尚愛しいと思う彼女と結ばれたくて、告白の言葉を口にした。
「うん? 私もノルドの事、好きだよ?」
「……!」
嬉しいと思う反面、何かが食い違っている予感がした。
他人の色恋沙汰には疎い癖に、サラ限定で鋭い嗅覚が何かが違うと訴えかける。そこで止めて、勘違いでも幸せな気持ちに浸っておけばいいのに、ノルドは確認をする。
「……爺ちゃんの事も?」
「うん! お爺ちゃんの事も好きだよ!」
確信した。
ノルドの言う好きと、サラの言う好きは別物だった。
ノルドは恋愛感情から、サラは家族愛や親愛から。
(違う……違うんだ……! 俺は、サラの特別になりたいんだ!)
だから説明をする。
その好きはノルドの抱く好きとは違うのだと。不本意ではあるが、好きという言葉の意味にサラの勇者に対する感情も交えて説明をするほど。
ただただ必死だった。態々サラに、勇者に対する気持ちをより自覚させてまで、自分の感情を分かって欲しかった。
「……えと、要するに……私が勇者様に抱く気持ちみたいな事?」
「……うん」
それで得心した、いやしてしまったサラにノルドは泣きそうになる。
ノルドのサラに対して抱く想いと、サラの勇者に対する想いが同じであると認めてしまったが故に、ノルドの心は張り裂けそうになる。
結局、この日の告白の結末は。
「それならごめんね。私ノルドと付き合う気はないよ」
「……っ」
彼女は、サラは。
まるで買い物の約束を断るかのように、ノルドの初めての告白を断った。
それからの記憶は良く覚えておらず、ノルドはその日一日を茫然と過ごした。
だけど。
それでも。
『サラ! 好きだ!』
『サラ! 一緒に幸せに暮らそう!』
『サラ! この愛をサラに捧げる!』
村人の告白を参考にした。
様々な人から恋に関する物語を聞いた。
そうやって毎日、サラに告白をしていく。
だがその度に。
『でも私は勇者様の方が好きだよ』
『一緒に暮らしてるし、毎日幸せに過ごしてるよ?』
『あっごめんね! ちょっとガンマおじさんの所のお牛さんに草をやらないと!』
告白を断るその一言がノルドの心を抉っていく。
今のような申し訳なさそうに断っている訳ではなく、この時のサラは本当にノルドの事を何とも思ってはいなかったため、余計に空回りしている気がした。
『でもここ最近、サラちゃんはお前の告白を申し訳なさそうに断ってるぞ?』
『だから何だよ……断られてるの変わらねぇじゃんかよ』
『いやぁ……多分だが申し訳ないと思えるぐらい、お前の事を意識するようになったんじゃないか?』
『……はぁ』
『……前向き馬鹿が取り柄なのにここまでとは』
近所のおじさんからそう言われても、当時のノルドに気にする余裕はなかった。