末千屋 コイメ

「教会にはサキュバスのシスターがいる」 それは事実で間違いないが、なにかを勘違いした旅人が多く訪ねてくるため、司祭である小焼（ｺﾔｹ）は少々困っていた。 いちいち相手するのも面倒…

ーー 「器」として選ばれた人々は、深淵にて無数の瞳を見る。 異形の子を取り上げた医者、行方不明の恋人を捜す乙女、 隣村とのわだかまりに嘆く女性、噂の真相を追う男装の麗人。 すべ…

人間と魔物が戦っているところを見ることが大好きなピクシーの＜おはるさん＞。 戦いを盛り上げるためなら、どちらの味方にもなる彼女が、ある日森で出会ったのは、妙な魔法薬を持ち歩くエク…

ようこそ。向こう側の世界へ。 狂気にあなたは酔いしれるでしょうか？ いいえ、そのようなことはないかもしれません。 この世界では、なにもかもが自分の思い通り。 だって、世界の創造主…

　月宮 夜空(つきみや よぞら)は、SNSでイラストや小説で活動をしている。 　だが、思うよりも周りの反応は薄く、彼女は、フォロワーに嫉妬し、つい攻撃的な投稿を繰り返してしまって…

　サキュバスのけいは獲物を求めて夜の町を巡回していた。 　彼女は活きの良い男の香りがする家に忍び込んで精力を吸い取る。人間が起きてきても魅了（チャーム）でメロメロにしてしまえば大…

「おばあちゃんは言っていた。あの森に入ってはいけないって」 　幼稚園教諭の寺分菜季は、占い師をしている祖母から「禁足地」と聞いていた森の近所に遠足で訪れる。注意をしていたが、同僚…

　おばあちゃんの部屋にある鏡はいつも布がかけられている。おばちゃんが言うには、何処かと繋がっているらしい。 　何処に繋がっているかは教えてもらえなかった。ただ、その鏡は、とても美…

誰にでも優しくて、人気者の貴方。 老若男女問わずに好かれている。今日あそこにいたら、明日はあちら。 でも、私はもう貴方無しじゃ生きられないほど依存してしまってて―― 今日も、胃が…

とあるきっかけで知ったメールの存在。 ナンでも1時間以内に10人にメールの内容を転送しなければ、化け物に襲われてしまうのだとか。 本当に化け物が来るのだとしたら、あなたは、誰に送…

　電車を寝過ごしてしまった俺は聞いたこともない駅へ着いてしまった。検索しても出てくる単語は「都市伝説」と「観光」のみ。いったいここは何処なんだ？俺は元の場所へ帰ることができるのだ…

「不思議なお話というものでしょうか。それなら、私も仲間に入れてくれませんか？」　 　陽が傾いた頃だったか、五人の男女で怪談や奇怪な話を次々と話していると、通りすがりの女が話しかけ…