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没った

没った原稿、十分の一を供養いたします…
これ以外の全部、書き直したい原稿になってしまったので、もうしょうがない。

語り手もチェンジだ!








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 ――シリウスは、会議の後に三人で話をした時。
   皆に言わず集まった、もう一つの理由を教えてくれた。


『カサンドラにこちら側の人間になってもらうには、望んで世界を渡ってもらう他ない。
 それが最も角が立たず、皆が納得できるベストな状況であることは疑いの余地もないだろう』
 
『じゃあさ、もしカサンドラがもう「ここ」には帰らないって選択をしたら、俺達はどうするんだ?
 断られる可能性、ゼロじゃないだろ』

『再び彼女を召喚する他、ないな』

 召喚の形式をとって、彼女をこちらに取り戻すのは最終手段だ。

 召喚は契約。
 何かを差し出す代わりに、術者の『望み』を叶えてもらう。

 かつてカサンドラが、自分の存在を全て差し出す形で、奇しくも『救世主』を外から呼び寄せることに成功したように。

 普通は魔力を捧げて喚びだすものだが、世界と言う壁を越える大掛かりな召喚だ。
 ――寝て起きたら回復する「魔力」程度の代償では足りないだろうな。



  ――カサンドラがアーサーの想いに応えず、この世界に戻ってこなかったら?



 その時は、何らかの『代償』を差し出してでも、強制的に彼女をこの世界に呼び戻す必要があるかもしれない。
 彼女の決断を期待する、なんて悠長な場ではなくなってしまう。


 聖女の奇跡に頼らず――
 自分たちが代償を差し出して、召喚魔法に切り替え、完成させる。


 何を対価にするか?


  足か?
  腕か?
  声か?
  目か?
 



 三人で何かを差し出せば、彼女を強制的に喚べるかもしれない。
 それでも、異世界の人間を引っ張りこむには足りないかもしれない。


 あくまでも最悪の事態を想定した話だ。
 だからこそ、こんな話誰にも聞かせられはしない。
 こんな話は無かったことになるのが、一番良い。



 何を捧げるか覚悟だけはしておけよ、と言う話を聞かされたんだっけ。




『わー、召喚の間がスプラッタになるじゃねーか、そうならんことを祈るわ』


『この作戦は、失敗が許されない。
 手段はいくつか確保しておく必要があるからな。
 私の責任にしておいてくれ、彼女をこの世界に連れてくる。
 絶対に』


『――…考えたくないけど、向こうの世界で記憶を失ってる可能性もあるよなぁ。
 まずはカサンドラに戻って来てもらわないと、話が始まらねーよ』

『うーん…腕の一本で女神の召喚に耐え得るとは思わないのだけど』





 こちらに帰ってくる意志があるなら、それが最良だ。
 三つ子も喜ぶだろう、アーサーも、皆もそう思うはず。






 ――帰る意志がなければ……

   文字通り、この腕で引っ張って来るしかない。

  

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