『近畿地方のとある場所について』という映画を観てきました。私はホラーが苦手なので事前にカクヨムで予習し、苦手な私でも十分耐えうるレベルの恐怖であろうと判断し、映画館へと足を運びます。コーラとポップコーンを携えいざ入館。すぐに想定外の事態。なんと映画では原作が大幅に改変されホラー要素が多くなっていたのです。私は2千円という安くない金額を払ったにも関わらず終始目を瞑り、頬杖を付くふりをして耳を塞いでいました。それでも何度かグロいシーンを観てしまったり、完全に塞げているわけでは無い耳から、瞼の裏の世界に肉の潰れるグチャッとした音が響いたりしていたので映画館を出る頃にはぐったりしていました。
映画館を出るととにかく休まなくてはとカフェで甘ったるいカフェラテを注文し、しばし休みます。何か気分転換出来るものは無いかとバッグを漁ると念の為持ってきていた『ババヤガの夜』が顔を出したのですぐに仕舞います。スマートフォンをいじってみるものの特にやることもなく、思いのほかカフェの人通りが多く、落ち着かないので店を出ることにしました。モール内をプラプラしていると有名なファストファッションブランドが。気分転換に買い物でもしようと店内に入ると一番目立つ位置に私の好きなアーティストとコラボしたTシャツがあります。値段は書いてありませんでしたが所詮はプチプラブランド。これ幸運と3種類ほど手に取りレジへ。少々疲れはありますが(恐らく)一万円程でこれらがケット出来るのであれば映画の疲労も合わせて1日の満足度はトントンになるはずです。
レジに並ぶと御婦人が前に1人。店員が会計をミスしたようで10分ほど待たされます。少々イライラしながらもようやく自分の番。店員が商品をスキャンすると、画面には想定をはるかに超えた2万5千円という金額が浮かび上がり泡を吹いて倒れそうに。失神しそうになる体を必死に支え何とか意識を保ちます。Tシャツが3枚で2万5千円ですか。店員は私の動揺を察したのか含みのある笑顔で見つめてきます。ここで負けてはいけない。この店員、明らかにこのアーティストを好きなことが服装から分かります。これが普通の大学生やパートの前でしたら商品を一度戻すことも考えますが、私と彼は同じアーティストを好きな者同士。そんな彼を目の前にしTシャツを陳列棚に戻すという判断がどうして出来ましょうか。私は震える声で言いました。「クレジットカードデ…」。「かしこまりました」店員はひどく丁寧に服をたたみ袋に入れてくれます。彼もこのTシャツの価値が分かっているのでしょう。私は商品を手渡されると足早に店を出ます。「ありがとうございます。またお越しください」何故かこれを2回言われました。
私は疲れ切り這々の体で帰宅します。そしてベッドに横たわりふと考えました。あの映画原作と話が違いすぎないか?元はと言えばあの映画が悪いのです。原作に無いシーンを追加し、不安を煽るBGMを流し油断した所で大きな音を出す。なんたる悪行。フツフツと怒りが湧いてきます。原作を読み切っていない私にはわからないので、スマートフォンで『映画、原作違い』と検索してみます。するとチラホラと異なる点があるようですが、どれもストーリーを大幅に改変しているものではありませんでした。おかしい。これは怪異か?映画の中だけではなく私自身も怪異に巻き込まれたのかと。そう疑いました。検索を続けます。そして1つの結論に行き着きました。全ての辻褄が合う、映画が原作と全く違う展開だったただ1つの理由です。そうです。私は予習する原作を間違えていました。カクヨムユーザーの方なら分かると思いますが『近畿地方(以下略)』と似た作品で『三重県(以下略)』という作品があり、私はこちらを読んでいたようです。一番怪異なのはお前の頭だよ。そんなお話でした。