という指摘が寄せられましたので、少しDisってみます。
本作と進行が似ている他作品においてモンゴルの諸部族の首長が集まり、みなハーンとなっているのを見かけました。基本ハーン/カーンとハン/カンは違います。ハーンが皇帝でハンが王のようなもの。ハーンと名乗れるのは基本的にチンギス(ボルジギン氏)の直系子孫だけ。
特にアスト部やハラチン部などはチンギス直系ではないので、明白にハーンではありません。オイラトのエセンは資格ないのにハーンを名乗りましたが1代で瓦解してます。
また、アスト部のノムダラ・フルチ・ノヤンの場合、ノヤンは領主の意味です。なのにアスト部のハーンであるノムダラ・フルチ・ノヤンといった場合、将軍である大名みたいな意味不明な形になります。他にもジノン=副王、タイジ=王子などもあります。
さらに大ハーンというのも少し違います。限りなく尊称と思ったほうが良いでしょ。基本、ハーンは最高位なので、大を付けるほどのハーンが居れば、他のハンがハーンを僭称することはほぼありえない。よって大を付ける意味があまりないといえる。
モンゴル語で言うところのイェケ・ハーンが大ハーンと訳されているが、少なくとも自ら名乗る正式な称号とは思えません。徳川家康でいえば征夷大将軍でなく神君に近いのかも。
各部族のハーンが一堂に介して…などというのは自称天皇が沢山集まるようなものなので、絶対にあり得ないはず。そのため、本作ではチャハル部の北元皇帝以外のハーン僭称者、例えばナムタイ・セチェン・ハーン率いるトメト部などは正統なハーンへ歯向かう謀反人という扱いで殲滅しています。
なのでハーンとハンの区別を曖昧にしたまま、みなハーンになってしまい、その上大ハーンとか意味不明もいいところ。とりあえず名前、年表、数行の事績だけ確認しただけなので背景や細かい事が抜け落ちるようにも思える。かと言ってあまり細かく説明すると小説じゃないと言う人も居るから難しいところ。