最後まで読んで下さり、応援下さり、ありがとうございました!
読者の皆様に感謝の気持ちを込めてイフもののおまけ話を投稿したいと思います。
よければご覧くださいね。
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※注意書き※
この話には暴力表現があります。苦手な方はご注意下さいm(_ _)m💦
ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いします。
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「白薔薇学園の槇村さん。俺、茶羅高校、軽井大介って言うんだけど、付き合わない?こう見えて、サッカー部エースで俺、結構モテて…」
「いえ。興味ないので、それ以上は結構です。風紀委員会に所属していて、恋人は持たないようにしていますので、丁重にお断りさせて頂きます。
あと、茶羅高校には個人情報の漏洩について厳重に抗議させて頂きますね?」
「え…☠」
校門の前で、告白してくる他校の男子を瞬殺する槇村涼子(14)。
「あはは。りょうちん!今の、一撃必殺って感じだったね。」
「きーちゃん…!」
離れたところで様子を見ていた親友の鹿野希梨(しかのきり)が笑いながら涼子の元へ駆け寄って来た。
「別に風紀委員会で恋愛禁止されてるわけじゃないし、試しに付き合ってみればいいのに。りょうちん美人なのに勿体ない。」
希梨にからかわれるように言われるも、涼子は顔をしかめるてふるふると首を横に振る。
「嫌よ。あんな軟派でガツガツしている男子は好みじゃないわ。健太さえいれば、彼氏なんていらないし。」
「ああ。あの可愛い猫ちゃんね?
じゃあさ、もし、健太くんそっくりの男子がいたら付き合う?」
「ふふっ。あんな可愛い子に似ている男子がいるわけないじゃない。今日は、帰ったら、健太にアメゾンで買った新しいおもちゃで遊んであげるつもりなの。楽しみだわ〜。」
その後、ホクホク顔で帰宅した涼子だったが、家では、深刻そうな表情の涼子母が待っていた。
「涼子、落ち着いて聞いてね?健太ちゃんが、窓から入って来た雀に怯えて、外へ逃げてしまったの。」
「ええっ!!」
「周囲を一回り探したのだけど、見つからなくって、近所に張り紙をしようかと…。」
「わ、私も探してくるわっ!!」
ダダッ!!
「あっ。涼子…!」
健太の行方不明という緊急事態を知らされ、涼子は、外へ飛び出して行った。
✽
一方その頃…。
「刈野さんと鉄男お似合いだったな…。これでよかったんだ…。」
親友の金田鉄男に、付き合っていた彼女、刈野小鳥を取られてしまった猫田広樹(13)は、同じクラスで二人の親密な姿を見せつけられ、しょんぼりと、公園のベンチでたそがれていたところ…。
「ニャー!ニャー!💦」
「ん?」
切羽詰まったような猫の鳴き声を聞き、声のする方へ行ってみると、
「ニャーッ!ニャーッ!!💦💦」
公園の砂場に誰かが置き忘れたバケツに、お尻を嵌めてしまい、出られなくて困っている黒斑の猫を見つけた。
「ありゃりゃ。お前、スッポリはまっちゃったな。よっしょ!」
スポン!
「フーッ。」
バケツから猫を引っ張り上げ、助けてあげると、ホッとしたような息をついた。
「ハハッ。よかったな。ヨシヨシ…。」
「ニャー♡」
広樹が頭を撫でると猫は嬉しそうに身を寄せて来た。
「お前、ちょっとトロそうなところ、俺に似てるな…。猫じゃらしで遊ぶか?ホレホレ〜。」
「ニャン!ニャン!」
親近感を感じた広樹が近くに生えていた猫じゃらしで猫と遊んであげているところへ、制服姿の涼子が半泣きで公園にやって来た。
「健太〜!健太〜!!いたら、ニャンと返事して〜?」
「…!?(うわっ。綺麗なお姉さんだなぁ。どうしたんだろう?!)」
「ニャン♡」
驚く広樹と飼い主を見つけて嬉しそうな声を上げる猫(健太)。
「あっ。健太っ!」
健太を見つけ、広樹と健太のところへ飛び込んで来る涼子。
「ああ!健太っ!!見つかってよかったぁ!!」
ギュムッ!
「わあぁっ…!///」
「ニャ…??||||」
涼子は、いきなり広樹に抱き着き、健太は固まっていた。
「な、何するんすかっ!」
「あ、あれ?あなた、健太に雰囲気も顔もそっくりだから間違えちゃったわ。ごめんなさい!健太ぁっ!!」
「ニャァッ!!」
「いや、どう間違えたらそうなるんすか…。猫くんが飼い主に会えたならよかったけど…。」
涼子が健太を抱き締め、感動の再会をやり直しているのを見て、呆れつつホッとする広樹。
「じゃあ、俺はこれで。健太くん、もう飼い主さんからはぐれるんじゃないぞ?」
「ニャ!」
「えっ。あなた、待って!健太を見つけて助けてくれたお礼をしたいわ。」
健太に声をかけ、その場を離れようとする広樹を引き止める涼子。
「いやいや!そんなんいいですよ。健太くんに遊んでもらって俺も気が晴れましたし。」
「気が晴れたって…。何か悩んでる事があったの?」
「あ、いや、つまらない事っすよ。」
「つまらない事でも人に話すと楽になるって事あるわよ?
こう見えて、風紀委員をやっていて、人に相談を受ける事は多いの。健太に誓って、絶対に口外しないわ。
よかったら話してみてくれない?」
「あ、や、ホントに些細なことなんすけど…。(このお姉さん、風紀委員だけあって、すごいカリスマオーラと包容力あるなぁ…。)」
涼子に真剣な顔で詰め寄られ、つい、鉄男と元カノの事を話してしまうと…。
「それは、辛い思いをしたわね。元カノさんも親友もあんまりだと思うわ。」
「あ、いや。俺も彼女とうまく付き合えていなかったんで悪かったんですよ。
俺、性格がワガママで顔しか取り柄ないので…。」
「性格がワガママで顔しか取り柄がない…??(健太を助けてくれて優しくしてくれたのにワガママ…?顔も失礼ながらそこまで整っているとは言い難いような…?)」
その言葉に首を傾げ、マジマジと広樹の顔を覗き込む涼子。
「ジーッ。(でも、目元とか健太にそっくりなお顔だち…に優しそうな雰囲気。何かキュンとしてきちゃった…♡♡)」
「あ、あの、近いんすけど…///」
「ハッ。///」
もう少しでキスしそうなぐらい広樹に近付いてしまい、咳払いをする涼子。
「ま、まぁ、(私好みの)いいお顔をしているのは本当だと思うわ。
私、白薔薇学園中等部2年の槇村涼子。あなた、名前は何て言うの?」
「あ、はい。俺、亜仁丸中学校の猫田広樹っていいます。」
「猫田広樹くん!あなたは健太と私の恩人よ…?今日からお友達(=ボーイフレンド)になってね?」
ギュッ。
「わっ…!//」
「ニャン♪」
涼子は満面の笑顔で広樹の手を握り、健太も嬉しそうに泣いた。
✽
その後、家に連絡を入れた涼子は、健太を抱き抱えて、帰りながら、広樹を家へと誘った。
「家、すぐ近くだから寄って行ってね?」
「ええ。でも、女の子の家に急に上がり込むなんて、悪いっすよ〜//💦」
「ふふ。悪くないっすよ〜。電話でお母さんも大歓迎って言ってたし。(口説いてくる男子達と違って、広樹くん、控えめね。何か、私の方がガツガツしちゃってるわ〜。)」
狩りをするように広樹を家に誘う涼子が、実は自分は肉食なのではないかと気づき出した時…。
通りの向こうから、中学生のカップルが言い合いをしながらこちらに向かって来た。
「ねぇ!やっぱりおかしいよ。猫田くん、金田くんの言うような人じゃない。私やっぱり猫田くんの事…!金田くんとは、別れて、彼とやり直す!」
「そ、そんな、小鳥ちゃん。俺の事好きだって言ってくれたじゃん!広樹なんて、性格のド悪い猫目だぜ?俺の方がよっぽどいい男だぜ?なっ。考え直そうぜ?」
「あらら。盛大な痴話喧嘩ね…。ん?猫田くん??」
「刈野さん…。鉄男…。||||」
カップル(金田鉄男&刈野小鳥)を見て、涼子は目をパチクリさせていたが、広樹の様子がおかしいのに気付く。
「猫田くん、もしかしてあの二人が例の親友と元カノ?」
「え、え、ええ…。||||」
涼子に聞かれて広樹は辛うじて返事はしたもの、元カノは親友と揉めて自分と縒りを戻すと言い、親友はそうはさせまいと自分の悪口を言うという状況に大きなショックを受けてフリーズしていた。
「なんてこと!許せないわ!!」
「ニャ?」
「えっ?!槇村さんっ。」
瞬時に状況を理解した涼子は、鉄男と小鳥に歩み寄った。
「ちょっとあなた達!!今の話、全部聞こえていたわよ?」
「「?! ひ、広樹(ね、猫田くん)…!!」」
「刈野さん…。鉄男…。」
小鳥と鉄男は、突然見知らぬ他校の美少女に詰め寄られ驚き、そして近くに広樹がいるのに気が付き、青褪めた。
「浮気した彼女さん!その人と別れて、勝手に復縁を考えているようだけれど、あなたの戻る場所はもうないわ!
猫田くんは私のボーイフレンドなんだから!チュッ♡」
「どわあっ!!///」
涼子は、まずは小鳥に人差し指を突きつけ、そう宣言すると、広樹の頬にキスをした。
「ガーン!!うっうっ、猫田くん…!!_| ̄|○ il||li」
絶望した小鳥は地面に膝つき、泣き出した。
次に、涼子は鉄男にも人差し指を突きつけた。
「それから、そこの名ばかりの親友さん!性格のド悪いのは、友達の彼女を取った上に悪口を言いまくるあなたでしょ?
猫田くんはこの子を助けてくれた優しい男の子なのよ?あと、容姿もあなたより、猫目の彼の方が100倍カッコイイわ!!」
「ニャン!」
涼子が鉄男を厳しく非難し、広樹を褒めると、健太が同意するような声を上げた。
「ガーン!!そ、そんな…!俺より広樹の方がカッコイイ…だとっ。うっうっ。そんなバカなっ。_| ̄|○ il||li」
絶望した鉄男も膝をついて泣き始めた。
「ま、槇村さん。ありがとう…。(俺の為に恋人の演技してくれたんだな…。)」
涼子の好意に広樹は胸が熱くなり、鉄男と小鳥に向き合う。
「刈野さん。鉄男。悪いけど、もう元の関係には戻れないと思う。さようなら。」
「ね、猫田くんっ…。」
「ひ、広樹っ…。」
「よく言ったわ。行きましょう。猫田くん。」
「ニャ!」
呆然としている二人に背を向けて健太を抱いた涼子と共に歩き出した広樹だった。
✽
そして、その後小鳥にもさんざん責められ、振られてしまった鉄男。
「な、何でだ…。俺の方がイケメンで要領もいい筈なのに小鳥ちゃんに振られ、広樹にあんな美少女の彼女が出来るんだっ?世の中間違っているだろうっ…。」
フラフラと通りを歩いていた時、ギャルっぽい結構な美少女がスマホで話しながら近くを通りがかった。
「え〜?飲み物買って来いって?超だるいんですけど〜。そういうの、普通彼氏の方がやってくれるべきじゃね?「よろ!」じゃね〜って!あっ。もう…!」
スマホで彼氏に通話を切られたらしいギャルは、ホーッとため息をついた。
「もう!顔も並だし、性格はひどいし別れちゃおうかな〜。」
「…!💡」
鉄男は、そのギャルに近付いていく。
「なぁ。ちょっと聞いちゃったんだけど、彼氏はひどいね?俺なら、そんな思いさせないぜ?何なら、飲み物奢ってあげようか?(広樹にあんな美少女捕まえられるなら、俺が出来ないわけないぜっ!)」
「え〜?ナンパ〜?(顔だけなら彼氏よりカッコイイかも?)」
ギャルは鉄男を見ると、戸惑ったような、満更でもないような表情を浮かべた。
✽
そしてその三十分後ー。
「おいぃっ!!俺の鶏菜《とりな》に手を出そうとするとは、いい度胸じゃねーか!」
ドカッ!💥バキッ!💥ゴキュッ!!💥
「ぐはっっ!やめっ…!!助けっ…!!」
ギャル娘にコンビニで飲み物を奢り、言い寄っているところを、速攻で筋骨隆々な彼氏(半グレ)に見つかり、 コンビニ近くの公園で散々殴られ、痛めつけられる鉄男の姿があった。
ギャル娘、鶏菜はその光景を呆れたように見守り、彼氏に声をかける。
「鮫夫くん、別に飲み物おごってもらっただけだし、その辺にして、行こう?やっぱり、イケメンでも腕力ない男はダメだな〜。」
「おう!そうだろう?こんな腰抜け放っといて行こうぜ鶏菜?」
そして、二人はボロボロの鉄男を捨て置き、去って行った。
「ううっ…!いでー!いでーよ!!誰か助けっ…。」
傷付いた体で動けずに呻いていたところ…。
「広樹くん。コンビニで健太のおやつ買うの付き合ってくれてありがとう!」
「いえ、もう、遅いですから、女の子一人で出歩くのは危ないですからね…。」
「広樹きゅん…♡」
「…!!(広樹とさっきの美少女…!)」
近くのコンビニからすっかり親密になった広樹と涼子が出て来るのを見て、鉄男は二人の前に這って行く。
「ぐ、ぐええええ…!(だ、だずげでぐでえええ…!)」
「「?!!💥💥」」
血だらけで顔面ボコボコの上、白目をむいている鉄男を見て、悲鳴を上げる二人。
「キャーーッ!!お化け〜〜!!」
「わーーっ!!こんなところにUNDEADがっ!!涼子さん、ここは危険です!!逃げましょう!!」
ダダッ!!
広樹は、涼子を庇いつつ共にその場を去って行った。
「ひ、広樹ぃ…。ううっ…。助けてくれよぅ…。ガクッ。」
鉄男は、血と涙を流しながら、その場で意識を失ったのであった…。
(完)
✽あとがき✽
読んで下さりありがとうございました!鉄男へのざまぁがちょっと足りないとのお声があったので、少し意識してみまさしたが、あんまりだったらすみません(;_;)
中学時代の涼子さんをイメージしたAIイラストを添付していますので、よければご覧くださいね。
次回作でもどうかよろしくお願いしますm(_ _)m