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カクヨムコンお礼「イケメン=」おまけ話 ペアパジャマで一緒にお昼寝♡🐮


「あっ。こんにちは!このお家の方ですか?」
「はい。そうですけど…。」

コンビニから帰ってくると、家の前に停まっていた車から、シロネコマークのついた帽子と作業着姿の宅配員が、中サイズのダンボールを抱えて出て来るところに行き合った。

「森野林檎さんにお届け物なんですが、受け取りよろしいですか?」
「あっ。ハイ…。」

俺は、ラベルにサインをして、荷物を受け取ると、宅配員は礼を言って、また車に乗り込み走り去って行った。

「ただいまー。」

俺が荷物を抱え、ちょっとドアを受けるのに苦労しながら中に声をかけると、リビングにいたらしいりんごが返事をし、パタパタ玄関
に駆け込んできた。

「おかえりなさーいっ。浩史郎先輩!なくなった、シャー芯の種類コンビニにありました?」
「ああ…。」

「よかったですね!んん…??」

俺が抱えている荷物を見ると、興味津々の様子で聞いてきた。

「その荷物、どうしたんですか…?」
「ああ。君宛ての荷物が届いたから受け取っておいたぞ?」

俺は、荷物を差し出すと、りんごは首を傾げながら受け取り、ラベルを覗き込んだ。

「??誰だろう?おばあちゃんからはこの間お茶と、野菜送ってもらったばっかりだし…。トー○クキャンペーン事務局…?
あっ!!もしかしてっ…?!浩史郎先輩っっ!!ありがとうございます!!」

りんごはハッと何かに気付き、俺に礼を言うと、そのまま荷物を抱えてリビングへ向かってドドドッと走り去って行った。

「けたたましいな…。一体何なんだ…??」

俺は呆れながら、りんごの後を追い、リビングに向かった。
         *
         *

「やっぱりー!!きゃはー♡やったぁ!!」

りんごは、ダンボールを開け、牛柄の毛布のようなものを発見して、はしゃいでいた。

「どうしたんだ?Am○zonで何か注文したのか?」

俺の問いに、りんごは興奮気味に答えた。

「いえ、そうじゃなくて、以前応募した、
『モーモーおはようグッズが当たる☆キャンペーン☆』で、モーモーペアパジャマが当たったんですよっ!!ホラッ可愛いでしょう?」

りんごは牛柄の着ぐるみのようなものを俺の前に突き出して来た。

「モーモー…?キャンペーン…?ああ…!
以前アイスの棒を集めて応募するって言ってた奴か…。」

俺は一ヶ月位前に、抽選に応募すると言って、牛乳アイスを食べさせられた事があったのを思い出して、やっと得心がいった。

「アレ、当たったのか。よかったじゃないか…!」

「ハイ。浩史郎先輩に協力して頂いたお陰です。ありがとうございます…!!」

りんごは、満面の笑みで礼を言うと、とんでもない提案をしてきた。

「ご協力頂いたお礼に、このモーモーパジャマの男性用の方を浩史郎先輩に差し上げます!!よかったら、今着てみませんか?」

「え。」

りんごが、俺に手渡され差し出した男性用パジャマをマジマジと見てみた。

うわっ。バカっぽい…。フードに耳と角ついてるし、パジャマというより、牛の着ぐるみっぽくね?

これを俺に着ろってかっ…?!

顔を引き攣らせた俺に、りんごはにっこり笑った。

「大丈夫です。生地そんなにぶ厚くないし、
半袖ですから、今の時期着ても暑くないですよ?」

いや、心配してんのそこじゃねーよ!

「い、いや…。俺、結構肌弱めだから、生地によっては湿疹できたりするんだよな…。悪いけど…。」

と、やんわり断ろうとしたところ、りんごは更にとんでもない提案をしてきた。

「あっ。じゃあ、試しに短時間着て、寝てみますか…?私も着てみますから一緒にリビングでお昼寝しましょう!!」

「え。」

〈デメリット〉牛のパジャマを着る
〈メリット〉 りんごとお昼寝
       一応ペアルック

デメリットとメリットを天秤にかけ、俺はしばし迷った。

「あれ?でも、これ、女性用のワンピースタイプなんだぁ…。寝てる間に下捲れちゃわないかちょっと心配だなぁ…。」

…!!!

「いや、ちゃんと寝相良く寝れば大丈夫じゃないか?」

女性用パジャマを見ながら渋い顔をしていた
りんごは、俺に急に強く主張され、戸惑った顔をした。

「え?そう…です…かね?」
「ああ。早く着替えて一緒にお昼寝しようじゃないか…!!」

「え、ええ…。(あれ?何故急にやる気に?)」

牛のパジャマを着る<りんごとお昼寝
          &一応ペアルック
          &パンチラあるかも?
       
デメリットとメリットを天秤にかけ、圧倒的にメリットに傾いた俺に、もう迷いはなかった。
          *
          *

10分後ー。それぞれ、別の部屋で牛のパジャマに着替えて来た俺達は、再びリビングでお互いに向かい合った。

「わぁ〜!!浩史郎先輩、牛のパジャマ似合いますねぇ!!グッドですよぉ!!」

りんごはいたくお気に召したようでテンション高くサムズアップをした。

「そ、そうか…?」

さっき、自室で着替えた時、うっかり鏡で自分の牛パジャマ姿を見てしまい、俺は一体何をやっているんだろう…。と我に返り、アンニュイな気持ちになったものだったが、まぁこんなにりんごが喜んでくれるならよかったか…。

「りんごも、ソレ似合うじゃないか。」

牛のパジャマを着たりんごは、いつもより輪をかけて幼く見えるものの、可愛らしかった。

りんごは、褒められて照れくさそうにフードの頭を撫でつけた。

「エヘヘ…。そうですか?//
このパジャマ、結構生地が柔らかくって着心地いいですね?チクチクしませんか?サイズはどうですか?」

「ああ…。生地も今のところ、チクチクしないし、問題なさそうだ。サイズも結構大きめに作られてるみたいだし、大丈夫だ。」

「よかった!では、浩史郎先輩。ちょっと横になってゴロゴロして見ましょうか?」

りんごは、リビング奥のテレビやソファーの下のカーペットの辺りを指差した。

いつの間にか、ソファーの近くに置かれていたサイドテーブルは、移動させられており、
大人二人がゆうに横になれるぐらいのスペースができていた。

自分の部屋から持ってきたらしい、二つの
りんごの形のクッションとりんご柄の毛布がカーペットの上に置いてある。

「浩史郎先輩にも貸してあげます。リラックスできますよ?」
「あ、ああ…。ありがとう。」

俺はりんごから青りんご🍏の形のクッションと毛布を手渡された。

りんごは毛布を被り、赤りんご🍎の形のクッションに頭を乗せ、横になると、
左右にコロコロ転がり、ごろ寝を満喫している。

俺はそこから遠くない場所に寝転がったが
このアングルからりんごを見ることがなかったので、新鮮な驚きを覚えつつ、ある種の危うさも感じていた。

りんごは、うつ伏せに寝転がり、カーペットに頬杖を付き、俺と目が合うと嬉しそうに微笑んだ。

「ふふっ…。なんか、二人でお揃いのパジャマ着て、お昼寝なんて楽しいですね?浩史郎先輩?」

クソッ。可愛いな!楽しいよ、メチャメチャ楽しいけど…。今更ながら、気になる事を聞いてみた。

「あ、ああ…。そうだな…。あの、りんご、一応聞くけど…お昼寝というのは問題ないか…?」
 
りんごがどう思おうが、生物学上は、男と女であり、昼間ではあるものの、二人っきりである事に変わりはないんだが、この状況で寝るとか…。

コイツは警戒心というものがないのだろうか?

しかし、りんごは、発言の意図を誤解して 苦笑いした。

「え?ああ、まぁ、流石にこんな真っ昼間から寝れないですよね?雑誌でも読みながらゴロゴロするだけでも、リラックス出来るんじゃないですか?
あっ!何なら、いつも読んでいる雑誌、お互いに交換こして読んでみませんか?」

「え?ああ。いいけど…。」
        
         *
         *       

そして、その3分後ー。

すぐ側で、すやすや寝息を立て、熟睡する
りんごの姿があった。

「フラグ回収早すぎるだろっ!3分で寝るっての○太かよ?!」

俺は思わず突っ込んだが、本人は、既に夢の中の住人だった。

「んっ。むにゃむにゃ…。」

りんごに貸してもらった今話題の本や漫画などを紹介した雑誌は結構興味深く読ませてもらったのだが、俺の貸した宇宙工学の雑誌は、りんごにとっては、強力な催眠効果があったようで、読み進めるごとに目を擦り、瞼が重くなり、やがてそのままうたた寝を始めたのだった。

幸せそうなりんごの寝顔を俺はちょっと複雑な気持ちで眺めていた。

無防備な姿を晒すぐらいに気を許してくれているのは嬉しいけど、異性として見られていない証拠でもあるような気がして…。

「俺だって一応男なんだから、ちょっとは、意識しろよな…。」

ボヤきながら、牛柄のフードから覗いたふわふわの髪を軽く引っ張ったり、
柔らかそうなほっぺやらおでこやらをツンツンと指でつついたりイタズラしてやったが、起きる気配もない。

「おいっ。ひどいイタズラされてもいいのか?」

俺が更に調子に乗って、半開きの唇に触れようとすると…。

「こ、浩史郎先輩…。それ以上は…ダメですっ…。」

りんごに止められ、俺はビクッとなった。

「お、起きたのか?りんご…?」

恐る恐る聞くと、りんごは苦しそうに眉根を寄せていた。

「その…ラインはっ…越えちゃいけないっっ…。」

再びそう呟いたものの、目を開ける様子はなく、どうやらうなされて、寝言を言っている様だった。

また、何か悩み事があるのだろうか…?

と、俺が心配になったのも束の間…。

「だ、ダメ…ですっ…。
牛乳アイスは一日3本まで…!!
4本からはお腹壊しますからね…。私の二の舞いにならないでっっ…。」

りんごは涙ながらに訴えかけてきた。

「食べねーよ、そんなに…!!君、懸賞の為に牛乳アイスどんだけ食ってるんだよ?!
アイス食べすぎてお腹壊すとか…子供かっ!!」

しょうもない内容に、軽くりんごの頭を叩いた瞬間、りんごはパッチリと目を開けた。

「はっ。何?何が起きたの?!」

りんごは驚いて目をパチパチさせている。

「こ、浩史郎先輩?あれ?私、一体…。もしかして、本当に寝ちゃったんですか?」

「らしいな…。」

「浩史郎先輩の雑誌、強力な催眠魔法がかかっていたようですね。恐ろしい…!してやられました!!」

キッと俺を睨むりんごに、呆れるしかない俺。

「いや、君が勝手に寝たんだろうが…。」

「まぁ、いいです。このパジャマ寝心地良くがいい事は証明されましたね。

おかげで少し頭がスッキリしました。

今日の夕食は、クリームシチューの予定でしたので、これから、気合い入れてホワイトソース作ります。

しばらく、浩史郎先輩も牛乳消費にご協力お願いしますね?
実は、雪○牛乳でも、モーモーストラップが当たる抽選が…。」

「いや、君はバカなのかっ?!全然懲りてないじゃないかっ!」

思わず、怒り気味に突っ込んでしまったのは、無理からぬ事であったろう…。






*あとがき*
「イケメン=万能…ではない」
いつも読んで頂きましてありがとうございます✨✨

カクヨムコンで応援頂きました皆様に感謝の気持ちを込めて、おまけ話を書きました。

よかったら、読んで下さると嬉しいです。

りんごちゃんのイラストも描いて見ましたが、イメージに合わなかったら、見なかった事にしてくださいね( ;∀;)

牛柄が思いの外インパクトがあって、描きながらこれ大丈夫かと青褪めておりました😨

彼女の全てを受け入れてやって下さると有り難いです。

7月位から、夏編も投稿できればいいなと思っておりますので、今後もどうかよろしくお願いしますm(_ _)m


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