人型機動外骨格(HM)とは何か、その設定を簡単に説明します。
HMは純粋な軍事兵器として生まれたものではないという設定です。
想定時代は現代から20~40年後。
開発の出発点は、大規模災害対応や都市インフラ維持、重工業支援としています。
瓦礫の中での作業、崩落した建物内部での救助、重量物の精密搬送。
そうした「人間用に設計された空間」で活動するために、二足歩行・多関節構造が採用されるのが自然だという考えによるものです。
武装は後付けです。
都市型紛争や重武装犯罪への対処という現実的要請に応じて拡張された設定としています。
法制度上は「重機の延長」に近い分類で管理されており、完全自律型は認められていません。必ず人間の承認操作が必要です。
機体は全高約4メートル、重量約4トン。
素材は高強度アルミやチタン合金、炭素繊維複合材。駆動は高出力電動アクチュエーターが中心で、油圧は補助的に使われます。
操縦方式は「意図入力型制御」。操縦者が動作の方向や目的を入力し、細かな姿勢制御やバランス計算はAIが担います。
補助機能として神経直結用ポート(プラグイン・インターフェース)を採用し、ある程度は操縦者の意思を機体に反映される仕組みとなっています。
最大の制約はエネルギーと熱です。
主電源は次世代全固体電池ですが、高出力を出し続ければ発熱が限界に達します。
液冷マイクロチャネルで冷却しますが、追いつかなければ出力は自動制限されます。
理論上の性能と、実際に持続できる時間は別です。この差がランクの本質です。
ランクはAからDまで。Sランクは存在しません。
Dランクは災害対応や工業用途が主。
戦闘能力は限定的で、高負荷運用は20分前後が上限。小火器耐性はありますが、対装甲兵器には脆弱です。
Cランクは都市警備の主力。
20mm級機関砲まで運用可能ですが、連射や長時間戦闘は想定されていません。
Bランクは軍警察混成部隊向け。
高火力兵装や対装甲近接兵器を扱えますが、弾薬重量と反動が機動性を削ります。高火力は「短時間集中」が前提です。
Aランクは国家戦略資産に近い扱いです。
限定的な小型電磁加速砲を搭載できますが、発射ごとに大半の電力を消費し、冷却時間も必要です。連射は事実上不可能。装甲も強化されていますが、対戦車兵器には無力です。
どのランクも万能ではありません。
戦闘継続は1時間未満。高速移動は短時間限定。
弾薬重量、反動、発熱、整備が常に制約となります。
高出力運用を繰り返せば関節に微細亀裂が入り、定期的な大規模交換が必要です。
HMは「使い捨て兵器」ではなく、高価な国家資産です。
開発体制は米欧の統合主契約企業が中心です(以下はあくまで物語上の設定)。
米国の Aegis Dynamics Corporation はA~Bランクを統合する最大手で、耐久性重視の設計思想を持ちます。
同じく米国の Helios Advanced Systems は軽量化とAI統合に強みを持つ技術革新型企業です。
欧州では Rheinwald Defence Technologies が重装甲モデルを主導します。
電池は NovaCell Energy Systems、
アクチュエーターは Vector Torque Industries、
姿勢制御AIは Synapse Autonomous Control、
装甲材は NordShield Materials Group、
武装統合は Arclight Ordnance Systems が担います。
Aランクは原則輸出禁止。
Bは政府承認制。
Cは同盟国向け限定。
Dは災害用途として広く流通します。
ランク差はそのまま国家の財政力と技術力の差を反映します。ただし、どの機体も大型無人機や対戦車ミサイルには脆弱です。
HMは決定的な兵器ではありません。
短時間で局面を動かす力はありますが、長期戦を単独で支える存在ではないのです。
この前提を踏まえると、物語における一機の出撃や、一発の発射、一本の近接攻撃が持つ意味が変わって見えてきます。
それは派手な必殺技ではなく、整備と補給、冷却時間と政治判断を背負った、制約付きの選択なのです。