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『はふりたまふるふゆしづめ』あとがき 的な

お久しぶりです。または初めまして。

いや本当に久々に新しい作品を書きました。
書き上げられたという意味では、それなりの分量の作品は十年ぶりぐらいになると思います。
書こうとしても全然書けなかったので、完成させることができて本当に良かったです。
これでも予定では四月の初めにはできるはずだったのですが、あまりにも書けないシーンがちょこちょこあったために遅くなりました。
ラストの辺りなんてあまりに何も浮かばなかったので、おそらく一週間以上かかった気がします。それで良いものになったかと言われると、なんとか繋いで終わらせられただけという感じですね。とにかく終わらせて完成させることが目標でもあったので、その点は良かったでしょうが。

今回の作品を書こうと思ったきっかけは、『SILENT HILL f』のトレーラーで顔の皮が剥がれるシーンを見て、前に顔を剥ぐ怪物のネタを考えたなと思い出したことでした。
ネタ帳を確認して見つけた十年ほど前のメモを読んで、今回の作品の大枠を思いついたので書いてみようと思った次第です。
ネタ自体は当時の読書記録と照らし合わせると恩田陸さんの短編『オセロ・ゲーム』を読んで思いついたものでした。
読んだのが十年以上前で正直もう話は覚えていないのですが、「裏返す」という言葉が出てたなぐらいなノリで今作にも「裏返る」という表現を入れてみました。
仮面の扱いについては飛浩隆さんの『零號琴』から影響を受けたような気がします。なんというかメンタル的なものなので内容において具体的な影響はないと思うのですが。

タイトルの『はふりたまふるふゆしづめ』は、折口信夫さんの『大嘗祭の本義』を参考にして考えました。
鎮魂についての三つの意義「ふる・ふゆ・しづめ」と「たまふり」を合わせて、おまけで「はふり(ほうり)」を付けた感じです。
魂の定着についての考察と戈面というものを重ねてみたりしようとしましたが、今作中では一切の言及をしていないのでノリでつけただけのタイトルという状態です。
さすがにまったく関係ないのはあれなので、後付けで変身シーンに使うことにしました。漢字表記を補填できたという意味では結果オーライだったかもしれません。

今作の内容については書いていながら自分でも思ったのですが、つくづく自分は「救われない物語」を書いてしまうんだなという気持ちです。
初めて書いた作品も救われないものでしたが、今作を書き始めた当初は気づかなかったものの、瑠璃の過去編を書いてるあたりで自覚しました。
こんなにも酷い目にあっているのに、なんでまだ先に酷い出来事が待ってんだよ……と自分で考えておきながら思ってたりしました笑

あと書き始めるにあたって色々と設定を考えもしたんですが、冗長になるからとどれもこれもカットしてしまいました。
「羽振部(ほうりべ)」という名前も、舞いの意味の「羽振り(はふり)」、清めるの意味の「祝り(はふり)」、滅するの意味の「屠り/葬り(ほふり)」を重ねていたり。
人面についても「人面・仄面・戈面」と段階があったりしましたが、邪魔だったので消しました。
考えるのは楽しいですが、実際使えるかはまた別の話ですね。長編であれば活かすことができたやもですが。

地味に気になるのは、元は能面で作品を作ろうと思ったところ伎楽面のことを知ったので、「迦楼羅・治道・酔胡王」といった伎楽面を使うことにしたのですが、
全体的に神道をベースに話を考えていたところに「迦楼羅」といった仏教要素が入るのはブレてる感じが否めませんよね。
まあ神は顔を見せないものなのでそもそも仮面化することと相性が悪いため、結果的に仕方がない気もするのですが。


とりあえず思いつくままに書き散らしましたが、今作を読んで楽しんでくださった方がいらっしゃいましたら幸いです。
次回がまた十年後にならないように努めたいと思います笑
ではでは。

2件のコメント

  • お久しぶりです!
    待ってました、新作!
    しかも和風!
    こういうのほんと好きです。
    この感動をレビューにできないのが本当にもどかしい。
    レビューが書けないぐらいに私もずっと満足に書けなかったんですが。
    次回作も待っております。
    投稿して下さってありがとうございました。
  • 橘さん、本当にお久しぶりです!
    自分もまったく書けない状態でしたが、これなら行けるかもと勢いに任せて今作に取り組みました。
    結果的には完成させるために苦しむ羽目になりましたが、なんとか新作をお届けできて良かったです笑
    橘さんの新作もどういう話が展開されるのか楽しみにしております。
    自分こそ気の利いたレビューができず無言評価ばかりで申し訳ありません。
    今作で精魂尽き果てた状態ですが、また次回作が書けたら自分でも嬉しいです笑
    コメントくださり本当にありがとうございました!
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