今回の話で、実はムラタの独白にはもう少し続きがありました。それがこちらです。
日本が高性能高付加価値で差別化を図っていたつもりが、程々性能で安い製品づくりのアジア諸国にシェアを奪われ、低迷してしまった……そんな無念を、ムラタの口で語らせたのです。
が、エンタメ作品でこんな愚痴みたいなの……と思い、封印。こちらにはき出す次第です。
……頑張れ日本のものづくり!
(672話 ボツ話)
なんだか、日本の製造業、特に白物家電がアジア諸国の中興の国々に負けた理由を垣間見た気分だった。高付加価値、高価格の路線は、ある程度商品が普及してしまうと、限界が来てしまったのだ。
誰もが高品質のものを欲しがるわけじゃない。そこそこの品であればいい。
それを、日本の製造業は見誤った。結果、かつて世界を席巻したメイドインジャパンは今、ほとんど壊滅状態だ。
もちろん、世界シェアを握る基幹技術を日本はいくつも抱えているから、ある意味で日本は今も世界を握っているとは言えるかもしれない。だが、最終製造国──「メイドインジャパン」を名乗れる製品は少なくなっている。
俺は二度と日本の隆盛を見届けることはできないが、日本がこれから、製造業で盛り返す日は来るのだろうか……。そんなことをしんみりと考えてしまう、表舞台には表れない「紙戦争」だった。