いつも読んでいただきありがとうございます。きぬもめんです。
※これはあくまで個人的な考えです。
異世界主人公の倫理観の塩梅って難しいですよね。
「創作の中で倫理道徳0主人公があってもぜんぜんええやろ!」という意見はすっごいわかる。私もそう思う。思想とかそういうのでなく、あくまで「そういう世界」で「そういうキャラクター」だから、現実の倫理や道徳の価値観にそぐわない展開になる。それも個性ですよね。
ただこれが「読者の嫌悪感」を考え始めると好き勝手もしていられなくて、「自分の倫理から外れすぎているキャラクターは嫌悪感を感じさせる可能性もある」というのをどこかで見たんですよね。なるべくなら読者に好きになってほしい主人公が嫌われたらそれは困ってしまう。
異世界転生の難しいところは「異世界の価値観」の中で「現実世界で生きてきた主人公の価値観」をどこまで大事にするかだと私は思ってて、ここの塩梅がかなり難しいんじゃないかと考えてます。
主人公は基本普通の学生や社会人が多く、人を手にかけたことはもちろん、動物だってないかもしれません。けれど彼らが生きることになるのは異世界ファンタジーの世界。食うか食われるか、弱いところを見せたら盗賊強盗当たり前、悪意を向けてくる敵も出現しますし、モンスターもいます。
そんな中で「戦ったことないから戦えない」や「傷つけたくない」ばかりだと読者にストレスがかかります。転生初めはいいけれど、ずっとそうだと「なにこいつ甘えてんだよ」と。現実の価値観を大事にしすぎるとこうなる気がします。
反対に最初から即断即決「悪い奴ならトドメを刺すのは当たり前」や「襲ってきた奴らが悪い」とバッタバッタとなぎ倒す展開はとても爽快ですが「異世界きたばかりなのに命奪うことに躊躇いなさすぎでは?」と感じさせるかもしれません。
ここは主人公の性格や世界設定にもよりますが、特に要因がないのに最初から現代主人公に躊躇いがないと「倫理観、道徳の低さ」を読者が感じる可能性があります。異世界基準の価値観を大切にするとこうなるかも。
塩梅が難しいです。現代価値観を大切にすると読者にストレスを与える結果になりかねず、逆に初めから異世界価値観全開だと倫理観が欠如しているような印象になり、悪いイメージを与えかねない。倫理観難しい。
なので大抵の作品は「初めは無理だったけど徐々に慣れていく」とか「必要に駆られて」や「仲間を傷つけられて覚悟が決まる」だったりと、現代の価値観を徐々に異世界に寄せていくことでバランスをとっている気がします。慣れていく過程を主人公の成長として描く、的な。
初めにどうしても手にかけなければいけない展開なら、手にかけた後の反応で「吐く、腰を抜かす」等を描写して主人公がこういったことに慣れていない感を出してつり合いをとっている印象です。
まあ長々と書きましたが、正直なところ好きな主人公を書くのが一番いいのでは私は思います。まず作者が書くのが好きなキャラクターじゃないと続かないと思いますし。それに有名異世界転生作品でも様々な理由で倫理観や道徳がぶっ飛んでいる主人公はいますし。
個人的に考える「読者の反応を考えると異世界転生ものの倫理観って難しいよね」って話でした。