【大正ロマン×怪異譚】
——本物を知りたい小説家と
純粋な心を持つ彼に惹かれる存在——
——華やかな灯に包まれた浅草の街
その奥、吉原に迫る何者かの陰——
文明開化の波が押し寄せ
人々は新しい娯楽と刺激を求めていた
活動写真、新聞小説、見世物——
だが、どれもすぐに飽きられていく
売れない小説家、卜部崇臣も
時代に取り残された一人だった
物語を書き続けてはいるが
誰の心にも届かない
理由は分かっている
彼は「本物」を知らないのだ
恋に破れたこともない
恐怖に震えたこともない
命の重さを背負ったこともない
すべてが紙の上だった
——ならば、体験するしかない
狐の怪異の噂を聞き
足を運んだのは浅草の稲荷神社
そこで卜部は
祓い屋と狐面の対決という
現実とは思えぬ光景に遭遇する
危機に陥った彼を救ったのは
一人の遊女だった
どこか人ならざる気配をまとった
不思議な女
まるで卜部の内面を
見透かすように微笑み告げる
「狐はね、肉食なのよ。」
遊女に警戒していた卜部だったが
次第に心を開いていく
しかしその頃
吉原には静かに危機が迫っていた
願いを叶える力を持つ宝珠
それを巡る者たちの思惑
そして、
吉原の闇に生まれつつある怪異
やがて災いは
卜部自身をも巻き込んでいく
彼こそが
その運命を左右する鍵であることを知らぬまま——
貴方もきっと騙される
に更新