こんばんは。ねむるこです。
カクヨムコン、最終選考に進んでいた私の作品がG'sこえけん特別賞の選評にて「可能性を感じた作品」として取り上げられていたことをご報告します。
まさかの結末に驚きました。自分の作品が音声化に向いているなんて考えたことも無かったからです!(笑)
漫画のようなテンポの良さが音声化作品にも重要なのかも……と思ったり。
賞を頂いたわけではありませんが、評価を頂けたこと。とても嬉しく思います。
……が、悔しいことに変わりはありません!(笑)負けず嫌い(笑)
これからも創作に全力で取り組んでいきたいと思いますので宜しくお願いします。
本作に興味を持たれた方はこちらから。
↓
『少年漫画家ちゃんと少女漫画家くん』
https://kakuyomu.jp/works/16817330651945491468気が向いたら本作の長編版を書くのも楽しそうだな……なんて考えてます。
色んな創作系高校生出てきたら面白そうですよね。未来と旅人の恋路も書きたいような……(笑)
本記事では感謝の意を込めてSSを公開します!!
サポーターズ限定記事に載せていたのですが、手直しして掲載してみました。
サポーターいないんですけどカクヨムポイント欲しくて書いたんです(笑)
なのでたくさんの方に楽しんで頂ければ幸いです。
旅人のクラスメイト星見光(ほしみひかる)君視点で、未来の描く漫画、『四字の軌跡』がどんな漫画なのか明らかに!(笑)
是非お楽しみください!
↓
SS「『四字(よじ)の軌跡(きせき)』に夢中」
「すごい……」
俺は思わず呟いていた。
初めて漫画原稿を手にする。
筆圧で削れ、凹凸を感じさせる紙。
インクのツンっとした香り。
漫画ってこんなにも重みがあり、繊細なものなんだと驚いた。
1ページ1ページ、緻密に描かれた原稿は手に持つのも緊張する、芸術作品だ。
普段印刷された漫画をなんとなく読み飛ばしている自分が恥ずかしく思えた。
もしかしたら今まで俺はちゃんと漫画を読んでいなかった……いや、楽しみ切れていなかったのかもしれない。
これからはちゃんと絵の細かい部分まで見よう。漫画家が丹精込めて描いてるんだから……。
俺が手にしているのは『四字の軌跡』という少年漫画だ。
まだ世間には出ていないがこれが世に出たらきっと大ヒットするだろうなと思う。
少年漫画を少し読む程度の俺が偉そうに言うのもあれだけど。それぐらいにすごい作品だと思った。
ストーリーは主人公の天童竜彦(てんどうたつひこ)が四字熟語を元にした能力を使って悪に立ち向かうというものだ。
面白いのは主人公の『一石二鳥』という能力。
本当に一つの石を投げただけで敵を2人同時に倒すんだから面白い!思わず吹き出して笑った。
絵柄もリアルで石に当たった悪役、本当に痛そうなんだよな……。
主人公の友人であり幼馴染の地野虎之介(ちのとらのすけ)が敵になってしまう場面は手に汗握る。
『一発必中』の力を持った銃使いである虎之介にどうやって立ち向かうっていうんだろう……。
原稿が終わったというのに俺の心臓はドキドキしっぱなしだった。
「すごい!めちゃくちゃ面白かった!続きはどうなんの?」
俺の興奮した様子に、この漫画の作者である小柄な女の子。
青空未来(あおぞらみらい)さんに問いかける。
朝早く学校に着いたから、誰か話せる奴が来ていないかと他クラスをフラフラしていたら漫画を描く青空さんがいたのだ。
余りにも真剣な表情で机に向かい合ってるもんだから、思わず声をかけてしまった。
こうして『四字の軌跡』を読ませてもらったというわけだ。
朝早くから作品と向かい合うなんて……。絵の苦手な俺からしたら考えられない。彼女の漫画に対する熱は本物だ。それこそ野球部が甲子園を目指すのと同じ熱量を感じる。いや、それ以上かもしれない。
青空さんは、にかっと爽やかな笑みを浮かべて答えた。
「それは次回のお楽しみ!」
「ええ……。続き、気になりすぎる」
俺が唇を突き立てていると、他のクラスメイト達がなだれ込んできた。
「あ!『四字の軌跡』の原稿だ」
「続きできた?見せてよ」
どうやら青空さん、学校ではもう有名漫画家みたいだ。
俺がファン第一号ではなかったらしい。少し悔しい……。
「ああ、できたよ。結構面白い展開だと思うんだけど、感想聞かせてな」
原稿を手にしたクラスメイト達が目を輝かせる。
その様子を見て、俺は青空さんを眩しく思った。
才能があって、自分の好きなことを恥ずかしげもなく堂々とする。
今までそんな人物に出会ったことが無かったから尚更感動した。
それが何だか自分のことのように誇らしく思った……。
最高に格好いいじゃん。
「続き、できたら読ませてくださいね。青空先生!」
俺は尊敬の念を込めて青空さんのことを先生呼びすることにした。
青空先生は笑みを深めて「うん!」と返事をしてくれる。それから俺は青空先生の元に立ち寄っては漫画を読ませてもらった。
だから隣の席の強面。
時野旅人(ときのたびと)が漫画を描くのだと知った時、青空先生に会わせてやろうとすぐに思いついた。
そして二人の漫画家が出会った今。……何だか面白いことになってる。
ルーズリーフに描かれた可愛らしい少女を見て頭を抱える旅人。
その少女は明らかに青空先生をイメージしたキャラクターで……。
いや、お前が描いたのになんで顔赤くなってんだよって、心の中で突っ込んだ。
旅人の分かりやすい反応は見ていて飽きない。
旅人は強面だし言葉数も少ないから敬遠されがちだが、本当は分かりやすくて面白い奴なのだ。
青空先生に惚れていることなんてすぐに分かった。
分からなくもない。
あれだけ好きなことに打ち込める、堂々とした姿に惚れないわけないだろう。
紹介したのは俺なのに何だか二人のことが羨ましく思ってしまう。
いや、羨ましいって何だよ……。
仏教面な旅人が、強気な青空先生がどんな風に変わっていくのか、見守ってきたいと思う。
二人の漫画家としてのストーリーはまだ始まったばかりなのだから……。
俺が一番の読者になってやらないとな!
了