家族。 そのあたたかい単語に惹きつけられる人も多いだろう。 家族が第一。 家族さえいれば良い。 家族のしあわせがすべて。 一方で、まるで牢獄のような「家」はどこにでもある。 到底愛せない己の分身。 自分を蝕む病菌のような身内たち。 どうか消えて欲しい。 しかし、家族の死を願うことは、同時に自分の存在否定にも繋がってしまう。 そんな鬼たちを静かに描いた小説です。
2021年9月4日に更新
古代。 その単語はいつまでも私たちの心を引き留める。 「旧い世に今より良いものがあるか?」 開発者たちは、冷めた口でそう言い放つだろう。 粗雑で、作りが悪く、壊れている。 大昔から学ぶことはあっても、浪漫など無い。 実際だ。 それでも、王族や権力者たちが死に物狂いで奪い合ってきた歴史が、美しい建造物を作らせ、金銀財宝を産ませてきたのだ。 そこに善悪など無い。 倫理など無い。 あるのはただひたすらの欲望。 そんな彼らの足取りを覗いてみよう。