• 現代ドラマ
  • 恋愛

彼女とカクヨム その1

近況ノートって何を書けばいいんだろ?

彼女は途方に暮れる。
そもそもこのカクヨムというサイトでさえ、知ったのはつい最近だった。まるで幽霊にでも囁かれたように、ある日突然「あ、なーんか1次創作でも書こうかな」と思い立ったのだ。
彼女はいつもそうだった。
いつも思いつきで行動している。深く考えない。思慮はとても浅い。だけどそれがたまに、ごくごくたまに功をなすときもあるのだから、彼女は人生面白いな、と楽観的に思っていた。

だからこの近況ノートでさえも、何を書いていいかわからず、とはいえ他者の書き込みを参考にすることも面倒がったまま、数日経ってしまったのである。

「どうせ誰もみないしな……」

彼女はグレープフルーツの果汁がたっぷり入った、苦くて酸っぱいだけのお酒を煽りながら、スマートフォンを手に持った。そして、なんとなく首の後ろにじめじめとした汗を感じながら、彼女は文字を入力していく。

こんなんでいいでしょ、どーせ見ないって。

彼女は、ゴクゴクと喉を鳴らした。爽やかな匂いが立ち込める。
飲み干したお酒は、やはりただただ酸っぱいだけだった。

コメント

コメントの投稿にはユーザー登録(無料)が必要です。もしくは、ログイン
投稿する