千古不易さまによる「リライト教室」が開催予定とのことです。
URL:https://kakuyomu.jp/works/822139843717927722
私などより遥かに巧みな方ですので、文章に悩む方がいらっしゃいましたら、是非ともこちらの門を叩いてみてはいかがでしょうか?
ただ、あくまでも「正解」という訳ではなく、コピーにもあるように、ひとつの「参考資料」です。
千古さまご本人も「辞書のようなもの」と仰っていますし、そういった使い方をしていただければ、という意図のようですので、その辺りを踏まえてよろしくお願いします。
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ちょうど描写の話もあったので、私の小話として。
大前提として、これは作風によってかなり変わります。
Web的な「なろう系」作品であれば、読者を素早く状況へ乗せるための「機能性」が重視されますし、文学作品に近ければ、読者に対する「余白」や「感情」といった体験へ寄せることが必要になっていきます。
「Show, Don’t Tell」とは絶対法則ではなく、『何を前面に出したい作品か』によって効き方が変わる技法、くらいに考えた方が実感に近いと思います。
たとえば――
・純文学寄り → 「語り」や「説明」そのものが文体の味になる
・ハードボイルド → 行動描写中心で、感情は言わない
・ラノベ・エンタメ → テンポ維持のため説明を多用することもある
・児童文学 → 読者負荷を下げるためにTellを意図的に使う
・古典文学 → 作者が直接読者に語りかけることすらある
ので、「説明は悪」という話では本来ないんですよね。
むしろ問題になるのは、説明した結果、読者が『体験』できなくなる場合です。
たとえば、
―――――――
彼は悲しかった。
―――――――
これはTellですが、文脈次第では十分機能します。
一方、
―――――――
彼は返事を書きかけて、便箋を裏返した。インクが乾くまでの時間だけ、机を見ていた。
―――――――
こちらはShow寄りで、読者に「何か感情があるな」と推測させる。
ただ、後者が常に優れているわけでもない。毎回これをやると、文章は重く、遅く、くどくなります。
だから実際の上手い作家は、かなり頻繁にTellを使っています。
ただし、「どこを説明し」「どこを読者に感じさせ」「どこを省略するか」の配分が巧い。
特に重要なのは、「作品がどこで読者を立ち止まらせたいか」ですね。
たとえば戦闘シーンなら、
―――――――
剣が速かった。
―――――――
と即座にTellした方がテンポが出る場合がある。
逆に、恋愛や喪失みたいな『感情を味わわせたい場面』では、Show寄りにした方が余韻が出やすい。
あと、創作論としての「Show, Don’t Tell」は、初心者への矯正として広まった面も大きいです。
初心者はどうしても、
・「彼は優しい人だった」
・「彼女は怒っていた」
みたいに「ラベル貼り」だけで済ませがちなので、「いや、その優しさを行動で見せてください」という訓練としては非常に有効なんです。
でも熟練者になると、今度は逆に、
・あえて説明する
・あえて断定する
・あえて作者が介入する
ことも武器になることがしばしばあります。
結局、ShowとTellの二択ではなく、『どの距離感で読者に触れさせるか』の設計なんだと思います。
ここまでは文章技法としての話ですが、個人的にはこれは「漫画のコマ割り」に近い感覚だと思っています。
小説でも結局やっている事は同じで、
・どこを大きく見せるか
・どこを流すか
・どこで読者を止めるか
・どこをあえて省略するか
の設計なんですよね。
漫画なら、本当に見せたい瞬間では、
・コマを大きくする
・背景を抜く
・セリフを減らす
・ページをめくらせる
など、「そこを見るための演出」が集中します。でも設計が甘い作品は、重要なコマが他のコマに埋もれてしまう。
小説でも、
・重要な感情変化が流される
・不要な説明に紙幅を割く
・全体が同じ密度で進む
といった形で、「どこが見せ場なのか」が曖昧になる。
だから実際には、ShowかTellかの二択というより、『どこを主コマとして扱うか』という演出設計こそが、本質に近いのだと思います。
まあ、細々といいましたが「一度全体を書いてみる。そして、ここは見せ場だと感じた部分は描写の密度なりを濃くして調整してみる」というのが実践的かな、とも思います。