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196話の補足として

いつも国以下略をご愛顧頂きありがとうございます。

酸化亜鉛を主成分とした無鉛白粉が開発されるまで、白粉は危険な物だったという認識がされがちですが、塩化水銀が主成分の伊勢白粉は人体への悪影響はかなり低かったと言われております。もし塩化水銀が人体に危険な物であったなら、無鉛白粉とならずに、無鉛無水銀白粉と呼ばれていたでしょう。

なら何故伊勢白粉が衰退したのかとなると、まず水銀鉱山の産出量が減り、次に安価な鉛白白粉に市場を奪われたというのが大きな理由です。その後紆余曲折ありながらも何とか手を変え品を変え細々と営業をしていたようですが、最終的には1953年に最後の窯元が閉鎖された模様です。その時には無鉛白粉が既に世に出ておりましたし、役割を終えたのでしょう。その後に薬事法で規制され、塩化水銀は白粉に使用できなくなりました。

なお、鉛白白粉も軽粉白粉も大陸から伝わった物です。大陸では西洋と違い、錬金術に水銀が多用されておりましたので、こうした発見に繋がったものだと思われます(水銀・鉛共にそのままでは人体に非常に良くない代物です)。

という訳で久々の爆弾を落としておきます。ですがこの作品は無名作品ですので、他作品に与える影響は皆無でしょう。問題無しです。

今回の補足でのポイントは、白粉には低価格帯の物と高級品とがあるという点です。

実際、江戸時代で問題となった鉛中毒の被害も役者等の庶民が大半でした。安かろう悪かろうを地で行っていた形となります。

そのため、高級品を使う上流階級では問題は起こりませんでした。

何が言いたいかというと、上流階級には安物の白粉は出回らないという話です。

いつも通りマニアックなネタですが、少しでも面白かったなら幸いです。

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