【お礼】
カクヨム、初投稿してみました。
取り急ぎ、レビュー、応援、コメント等々、本当にありがとうございます。
予想以上に多くの方に読んでいただけて、とてもうれしいです。
このサイト自体は、今から10年くらい前に認知しました。
当時はTwitterの知人の作品を見に行くだけだったような記憶があります。
今回、このアカウントをつくった契機は、ほんのちょっとした気の迷いでした。
しかしこの2,3日でいろいろな作品を読ませていただき、こんな素晴らしい界隈があるんだと感激しました。
これからもこんな調子で、気まぐれに気の向くままに好きなことを書いていきたいと思いますので、少しでもお付き合いいただければ幸いです。
【感想】
ぼくが20年前くらいに働いていた事務所では、各々、社長から「経費立替金」として現金10万円分を渡されていました。
そして毎月末、A4の大学ノートに領収書をのりづけして、経理のおねいさんに、残金といっしょに提出するシステムでした。
幸か不幸か、ぼくは生来、作中にあるような「几帳面な男」とは正反対の性格で、夏休みの宿題のごとく月末にごそっと領収書を財布から取り出し、集計して、残額を計算していました。
そうすると、当然のことながら、金額があわない。
手元の残額と、集計した残額が、数千円単位であわないこともありました。
多いならまだいいのですが、たいていは、マイナスの方向に合わない。
そういう時は、仕方ないので、自分の手出しで帳尻を合わせます。
自腹ってことですね。
そして経理のおねいさんのところに持って行く。
彼女は関数電卓をぱちぱちと弾き、ぼくの領収書と、ノートの集計額と、茶封筒に入れた残額を、照合します。
すると、不思議なことに、なぜか毎回必ず数字がズレる。
ぼくの計算が間違っていて、今度は数百円単位で、さっきとは逆、プラスの方向にあわない。
彼女は淡々とその金額分を封筒から出して、僕に返したあと、
『自腹で出しちゃダメだよ』
と言って仕事に戻るのでした。
ふと、そんな昔の思い出が頭をよぎったので、今回のショートショートの題材にしてみました。
ちなみに彼女は、その後すぐ結婚で退社しました。
ぼくは少し残念でしたが、当時としてはかなり奮発して、ご祝儀に3万円、つつむことにしました。
しかし、これも不思議なことに、ご祝儀袋には3万円とあるにも関わらず、なぜか一万円札が2枚と、五千円札が1枚しか入っていなかったと、後日電話がきました。
自分でもありえないミスにあわてて戸惑うぼくに、
『大丈夫だよ、ありがとう』
とクスクス笑いながらお礼を述べ、電話を切りました。
彼女の笑い声をきくのは、それが初めてでした。
あれから、もう20年くらい経ちますが、彼女と話したのはそれが最後です。