石段を降りるにつれて、壁から鑿の跡が消えていった。
ある段から先で、ひとつもなくなった。
面が、滑らかになる。灯りを近づけると、光を返す。
エイジが掌を当てた。冷たい。離すと、手の跡が残らずに消える。
アマラも壁を押した。「……彫ったんじゃないね、これ」
指でなぞって、確かめる。「磨いた石って、必ず向きがあるの。これ、どっちに撫でても同じ」
リリアの視認帯が、壁を横に一度なぞった。線は、途中で乱れなかった。
「継ぎ目が、ない」
第七部 第139話「中層の門番」、公開しました。
https://kakuyomu.jp/works/2912051600046524252/episodes/2912051607420281735
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