リリアは、ずっとひとりで立ってきた子です。
十二歳から剣を握って、頼るより先に、誰かを守る側にいることを覚えて。
だからこの雨の夜も、彼女が考えていたのは、膝をつかないことだけでした。
――まだ立てる。まだ、大丈夫。そう自分に言い聞かせて。
そこへ、エイジとアマラが来ます。
何も聞かずに、ただ両側から、そっと。
リリアはきっと、はじめに戸惑ったはずです。
どうして、こんなにびしょ濡れになってまで、と。
そして次に、気づいてしまう。
――ああ、もう、ひとりで立たなくていいんだ、と。
張りつめていたものがほどけた瞬間、
雨の冷たさより先に、二人の腕の温度が伝わってくる。
その温度に、彼女はたぶん、泣いたと思います。
強い子が、弱さを預けられるようになるまでには、時間がいる。
その時間を、三人でここまで積んできたんですよね。
▼イラストも一緒に。
よかったら、リリアのこの夜を、見にきてください。
第50話「再会」はこちら
https://kakuyomu.jp/works/2912051600046524252/episodes/2912051602383376726