こんばんは、國村城太郎です。
『金継ぎ椿は、器も恋も繕いたい』、いよいよ最終巻「恋を継ぐもの」が始まりました。
七月一日に投稿を始めて、五つの巻を書いてきました。乳母の器、三味線の撥、妖刀、五組の皿、赤猫の香炉。椿はそのたびに、器に宿った想いを聴き、金で繕ってきました。そして慧之進とともに歩くうちに、いつしか自分の恋にも気づき、五の巻の終わりでは、互いにその想いを言葉にするところまで来ています。
けれど、恋を自覚したからといって、道が開けるわけではありません。
明日から始まる最終巻は、身分の壁が正面から二人の前に立ちはだかる巻です。挿絵は、その第一話から。月代を剃り、髷を結い、裃をつけた慧之進。見慣れた着流しの若侍ではなく、月館家の当主としての姿です。
彼は江戸城に登城することになり、市中に出ることも難しくなると告げます。交わされるのは、他人行儀に整った挨拶。先日までの気軽なやりとりは、もうそこにはありません。
最後に差し出された手を、椿は握ります。思わぬ強さで握り返されて、痛いと思いながらも、それを顔には出さない。その力が、離れがたいという気持ちを伝えてくれているような気がしたから。いつまでもこのまま繋いでいたいと思った——けれど、その手はついに、そっと離されます。
繕えるものと、繕えないもの。身分という壁は、金では継げません。
それでも、この物語の題は『器も恋も繕いたい』です。椿がどうやってその壁に向き合うのか、慧之進が何を選ぶのか。
残り七話、どうか最後まで見届けていただけたら嬉しいです。
ここまで読んでくださった皆様、ハートや★で応援してくださる皆様、コメントやレビューをくださった皆様、本当にありがとうございます。物語も、いよいよ終わりに向かいます。
それでは、また明日。