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おもちゃのピアノと泳ぐ子ども達

 夢の中で、主人公は悪夢の中へと入り込む。

 全てが狂ってしまった街。
 病院に足を踏み入れると、
「いかに生きることをあきらめるか」
という講習会が開かれている。

 そちらから足を背け、隣の部屋に入った。
すると、小さな子ども達が宙を泳いでいる。
空気の中を必死にもがいて、部屋の中央に据えられたおもちゃのピアノに、ようやく触れる。
そして、音をひとつ、ふたつ、奏でて、はしゃいだところで、その小さな身体は後方へ押し流される。
見えない川にさらわれるように、その身体が部屋の端に並ぶベッドに押し付けられてしまうのだ。
それでも、子ども達はまた、おもちゃのピアノへ向けて、泳ぎだす。
何度でも、何度でも。

 この子ども達は、病のために長く生きられないんだ。
もっともっと遊んで、歓びたいのに、それが叶わないんだ。

 夢から覚めた私は、あの子たちが生きることのできない世界にいる。
体調は今日も良くない。だけど、身体が弱くとも粗末に生きることは許されない。
今より最後の校正と確認を行った後、小説の投稿を致します。

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