今年の1月から書き継いできた『みんな杜子春』を半年近くの時間を掛けて、ついに書き上げました。
中途、度重なる手入れにも拘らず、辛抱強く読み続けていただいた読者の皆様、誠にありがとうございました。
思い出すに、この作品のアイディアが降りてきたのは、昨年末だったかと思います。何かに駆り立てられるように書き始めたのを覚えています。
幻想小説を中心に手掛けてきた私にとって、現実の世界を舞台にし、しかも現在より少し未来を描くというのは、ほとんど門外漢の挑戦のようなもので、試行錯誤の連続でした。
その反面、いつもは言葉を連ねることによって現実から遠ざかろうとするのに、この小説では真逆の、より現実に近づけようと工夫するという体験は、実に新鮮でした。
とにかくこの小説を書いて良かったと思っています。
なぜなら。
こうして完成したのですから。
この小説と違い、日本は、いまだコロナ禍の中にあります。
一日でも早く収束することを祈って、今夜は筆を置きます。
2021年 梅雨時の夜