一ヶ村銀三郎

山中の断崖で輝く指環を拾った「私」は、麓の町で売り飛ばそうと画策するも、買取を拒否されてしまう。失意の後、誰の物とも分からぬ「女声」が脳裏に、断続的に反響し、薄気味悪さを覚えなが…

街道から逸れてしまった「私」は見知らぬ集落へ入り込んでしまう。僅かばかりの住民と交流し、再び本線へと復帰するが……。

退屈しのぎにレンズを覗く人物は、ツラツラと報告を記していく。ある時は微生物を、またある時は天文の世界に視野を広げていくが、その報告の目指す先は全く別方面を向いていた……。

　会社務めの誠実な青年は、ある日突然遅刻してしまう。上司はそれを注意するが、段々と遅延する時間が増加していく……。

仕組みの分からぬ妖化現象に晒された生物と対峙する内国妖霊統括部職員の男は、ある夜、内務卿と部長から緊急の連絡を受ける。何でも、財閥の所有するサロンが鴉に占拠されてしまったので始末…

依頼された仕事が思うように進まない青年は、気分転換にホテルのロビー付近にある喫茶室でコーヒーを注文する。しかし、頼んだ品は一向に到着しない。そんな中、青年は従業員に相席を依頼され…

　単調でつまらない部屋に嫌気が差した少女は、脱走を試みる。廊下に出たは良いが、特徴の薄い空間に悩まされる中、なぜか黒い服を着た青年の姿に心惹かれていく……。

　縦横無尽に敷設された長大な配管の補修に忙殺する「私」の元に突然、精神安定士と名乗る「機体」が現れる。その目的は、ある人物の亡くなった「断裂事故」を経験した事による心理変化の確認…

　不慮の事故により、頭部を負傷した「私」は治療費の請求を恐れて入院を拒否するも、自治体での正式な手続きが必要と知る。金銭の圧迫を押さえるべく役所へと向かっていくが、途中でかつての…

行方不明者の捜索に際して関係者の証言が集める使命を受けた者が、様々な人々に触れ合い渦中の人物へ辿り着こうとするも、事件の全貌は全く見えてこない。

持ち物を紛失した「私」は駅の事務所に立ち寄ったものの、たらい回しにされてしまう。苛立ちを覚えながらも地下通路を歩いていくが、だんだんと不気味な状況が忍び寄り始める……。