セボネモノホシウオとは一体なんだろうか。
我々はその答えを探しにジャングルの奥へと足を踏み入れた…
というのは冗談ですが、実はそうとも言えないのです。解釈は人それぞれですが、私の思うセボネモノホシウオの正体はモノレールでした。
そう、コンクリートジャングルを泳ぐ一匹のセボネモノホシウオ。
それがモノレールです。
熱帯のように暑い日、都会という箱庭(ベランダ)に林立するガラス張りのビル。そこに映ったセボネモノホシウオの姿は、まるで映画『天使のたまご』に出てくる影だけの魚が泳いでいる情景のように感じられるのです。
繁栄の中にその魚が陰陽魚のように真っ直ぐなモノホシザオと矛盾しながらうねる姿は、映画中にあった荒廃した世界とは違うために浮いて見える。
どうしてか想像しやすいのに、あまりにも映画と現実がかけ離れ過ぎていて、私の背筋も物干し竿のようにピンとします。
その想像は私の中にあるだけなのだけれど、そういう時に他人にとってはどうでもいい———意味のないという価値を生み出すのも面白い。
だからこそ、この企画はセボネモノホシウオ。
作品たちが背骨のように並び吊るされて、水を、進むべきモノホシザオを得たかのように、誰かの頭の中、意味のなさげに脳神経のMono-Railを泳いでいく。