「子供が出来た」
2021年の10月26日に嫁からのラインが届いた。
会社の喫煙所でタバコを吸っていた俺は、幸福と不安が入り混じった煙を吐き出す。
結婚して2年と半年。
付き合いだしてから数えたら10年近く寄り添った嫁との間に出来た子供。
2年間子供が出来ず、不安に思う日もあった。
年末になる前に一度産婦人科に行こうかと話してときだった。
嬉しかった。
あまりにも突然に訪れた人生の転機。
だが、突然過ぎて父親になるということがわからなかった。
今まで好き勝手に音楽をやって、将来はミュージシャンを夢見て、現実と理想のギャップから目を背ける日々。
大人になるにつれてこのままではいけないと現実と向き合って、嫁と結婚するために就職をした。
もう音楽は諦めて、仕事一筋でいこうかとも考えていた。
結婚してからも音楽はひっそりと続けていた。ただそこには、諦めたくない自分のわがまましか残っていなかった。
子供が生まれたらそんな時間も無くなる。
子供が出来たことは嬉しい。生まれてきたら精一杯の愛情を注いで育てるだろう。今から会えるのが楽しみだ。
だが、俺の人生は? 夢は? もう終わりなのか?
今の俺は、子供に誇れる何かを持っているのだろうか。
夢を途中で投げ捨てた俺が、子供に夢を持てと教えることが出来るだろうか。
そう考えたらたまらなく不安になってしまった。
タバコの火が消えて次のタバコに火を付ける。
まだ、俺の夢は終わってない。
そう思いたかった。
自分の子供に誇れるものが欲しかった。
そう思ったら、なぜか小説を書いていた。
元々小説には興味があった。なろう小説は何年も前から読んでいたし、物語を考えるのも嫌いじゃない。
でも国語の成績はいつでも2か3。漢字は一番嫌いだ。
それでも何かを求めて書き出した小説。
自分で決めたルールは、「100日毎日更新しても読まれなかったら、全てを諦めよう」
そして先日、初めて小説をネットに上げて100日が経過した。
「シスターズ・ハーレムナイン」は20万PVを超えるほど多くの人に見てみらえるようになった。
書籍化している作家の人たちから見たら小さな数字かもしれない。
それでも、俺にとっては夢の一歩を踏み出すためには充分な数字だ。
いつか自分の子供に言える様に、
「この小説は、父さんが書いたんだよ」と。
そして、
「お前も、夢を持って生きるんだ」と教えたい。
そのために俺は、今日も小説を書く。
今まで一度でも私の小説を読んでくださった方々、本当にありがとうございます。
まだまだ夢の途中ではありますが、これからも夢を叶えるために執筆を頑張っていきますので、今後とも応援のほどをよろしくお願い致します。
いくつになっても中二病