オスマン帝国って……なんというか……王権が変わらなさすぎて停滞してるというか……お家騒動とか、戦争による王位破棄とか、そっち系聞かないけど……
外敵による王権の揺らぎがないように感じれて……あと、昔からあった国なので、どこか淀みというか、こう……言いにくいんですが、歴史を見る度に『これ、何かが違う……なんか止まってるような、汚れてるような……?』ってなるんですよね。いやまあ、歴史上の国家なので、そんな鮮度を見るみたいな行為には意味ないんですが……
こう、なんて言うんでしょうね。ドイツ帝国のような新興国特有の生き生きとした感じがなくて、社会主義国のような制度による統制も万全でもなくて、なのに、冷戦期の社会主義国の国民の死んだような雰囲気があって、王権は常に維持されてて、っていう。いや、国民の雰囲気について調べた訳では無いのですが、こう、なんというか、本当に、私の言える言い方だと『淀みがある』ような、そんな感覚なんですよね。
こう、比喩というか、詩的な言い方になってしまいますが、『止まっている』という感覚というか…いえ、歴史なので今、現在では決してないのですが、こう、全てが止まっていて、その意味も意義も、そこにあることにある気がして……とにかく、不気味なんです。
私はただ、音の響きで覚えていた『アブドゥル・ハメト二世』を検索しただけなんですが……よく分からないんですが、不気味で、よく分からないけど澱んでいて、不安になってくる気持ち悪さがあるんですよね。こう、底は見えてるのに底知れぬ恐怖というか、こう、深い深い下水道の、その奥底で蠢いているなにかの気配を感じ取ってしまったような、そんな感覚があるんです。
見えている。見えていると言うのに、恐怖している?いいや、違う。これは、底が見えること自体が恐怖の対象なんだ。歴史の中に蠢くその澱んでいるその気配が、私の感じるところにいただけで、ただ、それだけだったんだ。私が実際には名前を調べただけで、中身を見ていないとしても、それでも確かに、この底知れぬ不気味さと不安が、私の感覚が、全てを知らせてくる。
……ふう。セルフ精神分析のおかげで、落ち着いてきました。もう、大丈夫です。ご清聴いただき、ありがとうございました。