場所はいつもの梅雨時のジメジメとした湿気がウロコにまとわりつく、薄汚れた六畳一間の水道管を改造した水槽付きのアパート。
湿った新聞紙とカップ麺の空き容器が散乱する部屋の中央で、雑魚背黒鰯の頭部に人間の醜悪な胴体をくっつけたような半魚人、通称ゲスカスは、脂ぎった手でノートパソコンのキーボードを激しく叩いていた。
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30分ほど前、ミニ宝くじの当選金4000万円と、社会人10年でシコシコと溜めた預金1200万円、合わせて計5200万円を手に入れた雑魚背黒鰯半魚人のゲスカスは、今や我が世の春とばかりに座っている椅子をこれでもかといった具合に反り返り、良からぬことを思考していたていた。
「ゲハハハッ! 今こそ俺の、俺による、俺のために、特権階級の俺は不労収入で他人を見下す金満家になるのだあ!」
彼は非課税の新NISA口座をフル活用し、堅実(に見えるが中身はドケチの欲の塊)な株式の分散投資を始めることにした。
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ポートフォリオを組み終えたゲスカスは、画面に並ぶ銘柄の羅列を眺めながら、ヌラヌラとした手でニヤニヤと笑っていた。
「見てろよ世間の負け組ども! 俺様はこの盤石な配当要塞で、一生働かずに悠々自適の貴族ライフを満喫してやるんだ……ゲハッ、ゴホッ!」
調子に乗って冷やしタピオカを一気に飲み干し、盛大にむせる半魚人。
しかし、この完璧(と本人は信じ込んでいる)な資産配分の裏で、自らの愚かさが招く「史上最悪のサイバー悪夢」が着々と近づいていることなど、この時のゲスカスは毛ほども想像していなかったのであった。