こちら、早川楓です。
……また名乗ります。
特に意味はありません。
ただ、記録なのでそうしています。
最近の状況について報告します。
大きな変化はありません。
事件と呼べるようなことも起きていません。
ただ、「何もない」と言い切るには、少し引っかかる部分があります。
教室はいつも通りです。
授業も普通に進みます。
誰かが笑って、誰かが寝て、誰かが注意される。
そういう日常です。
それでも、一定の場所だけが少し違います。
紗奈さんの席です。
そこだけ、周りの動きが一瞬だけ鈍くなることがあります。
止まる、というほどではありません。
でも、「考える間」が必ず一瞬だけ入ります。
まるで、その場所だけ反応が遅れているような感じです。
私はそれを見ても、特に何かをするわけではありません。
調査もしていません。
掲示板も見ていません。
情報を集めることもしていません。
ただ、見える範囲だけを記録しています。
それ以上は、踏み込むべきではない気がします。
理由は説明できません。
でも最近は、説明できない判断の方が正しいことが多いです。
例えば、違和感を無視したあとに後悔することはよくあります。
逆に、違和感を言葉にした瞬間に、何かが変わってしまうこともあります。
そのどちらが正しいのかは分かりません。
ただ、今の私は「動かない」という選択をしています。
紗奈さんの席は変わっていません。
誰も座っていません。
それなのに、完全に空いているようには見えない時があります。
たとえば、視線を向けた瞬間だけ、少しだけ“そこにある”感じがします。
気のせいかもしれません。
それで済む話です。
でも、最近は「気のせい」が一番信用できない言葉にも思えます。
以上です。
早川楓でした。
次は麻帆です…
https://kakuyomu.jp/works/2912051601532820883/episodes/291205160272517