短編小説『ブラコン妹と妹の友達と約束』の解説です。
解説とかするのは無粋な行為だと思いますが、10000字以内という制限の中で書ききれなかった点が多かったので、補足として書いておきます(ちなみに9,997字でした)。
妹の奈津は兄である亮と「約束」の約束をした日、既に脳が破壊されてます。つまりNTR好きになってます(あまりこの表現は好きではありませんが、分かりやすいのでこう表現します)。
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「……デート、楽しかった?」
「あ、あぁ。楽しかったよ。……ごめん。こんな感想聞きたくないよな」
「ううん。その感想が聞きたかったの」
彼女の息が更に乱れていく。
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それを示唆していたのがこの部分です。ただ本人にその自覚はありません。
長編ならもっと念密に伏線を張るのですが、今回は無理でした。
また、タイトルにもある通り、奈津はブラコンであるため亮と仲良くお出かけしたりしたいのですが、だんだん恥ずかしくなってきて素直になることができなくなっていました。
そんな時、友人である愛花から相談を受けて思いつきました。亮に愛花の彼氏役になってもらい、その報告として自分に同じことをさせることで、昔みたいに亮と仲良くなりたいと。
ただし、愛花に完全に亮を取られるのだけは避けたいので、(彼女に)本気になったらダメという約束も取り付けました。
奈津の計画通り、昔みたいに亮と楽しい時間を過ごすことができるようになりました。そして、亮はそんな彼女の思惑に気づいています。
そして最後、亮はデートスポットで愛花の体を抱きしめ、キスまでしたと言いました。もちろん約束があるので、亮は奈津にも同じことをします。
ここで奈津は亮にして抱擁とキスをしてもらったことに対する喜びと、亮が愛花に本気になっているということに対して胸に痛みを覚えます。だけど、脳が破壊されている奈津はそれすらも悦びになってしまいます。
さて。亮は本当に愛花に対して本気になったのかというと、決してそんなことはありません。亮は「奈津が喜ぶための行動」を取ったに過ぎず、ただただ彼女との約束を守るためにそのようなことをしました。
本作は、そんな歪んだ愛を持った兄妹の話でした。
......これ解説になってる?
追記:
亮がもっと奈津に対して無関心であったら、奈津の性癖を見抜くことができず、このような行動には出なかったと思います。
奈津的には亮が自分に関心を持ってくれることは喜ばしいことですが、そのせいでこのような結末を迎えたのはなんとも言い難いですね。