サポーターの皆様こんばんは、カフェに行くと大体ウィンナー珈琲を注文する穂村です。
本日は第39話を先行公開です!
本日は3回目の隔日投稿です!
(投稿を続けるためのメモです)
今回もよろしくお願いしマァス‼︎
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「えーっと……、それってどういうこと?」
綾原は少しだけ言葉を振るわせながら困惑した様子で楠森の発言についての真意を訊いてきた。
突然俺がAIを使って綾原をオトそうとしていたなんて話を聞かされたら困惑するのも無理はない。
「--っ」
綾原からAIの話について聞かれた俺は言葉を詰まらせた。
まさかAIを使って綾原をオトそうとしていただなんて、口が裂けても言えるはずがない。
そんなことをしてしまえばこれまで築いてきた綾原との信頼関係は崩れ去ってしまう。
とはいえ、楠森にAIのことについて綾原にバラされてしまった今、もう隠し通すことはできないだろう。
頭の中ではそんなこと理解している。
もう隠し通すことができないのなら、自分の口から正直に綾原にAIのことについて説明するべきだ。
そう理解していても、俺の口が事実を話すために動き出すことはなかった。
「……」
「永愛君はね、恋愛のことなんて何もわからないから、AIアプリをダウンロードして、AIに綾原さんを落とす方法を訊いてたの」
「えっ、私をオトす? AI? ちょっ、ちょっと待って、何言ってるのかわけがわからないんだけど……」
AIを使っていたというのもわけがわからないだろうが、何よりわけがわからないのは、俺が綾原をオトそうとしていたという事実だろう。
それは要するに俺が綾原に好意を寄せているということなのだから。
「当然よ。同じことを言われたら私だってわけがわからないもの」
「く、楠森さんが言ってることが本当だとして、なんで楠森さんがそんなこと知ってるの? そんなこと永愛君が楠森さんに相談するはずがないよね?」
「綾原さん、木戸先輩に追いかけられたことあるわよね?」
「えっ、うっ、うん。あるけどなんでそれを?」
「あの時もね、永愛君は綾原さんを助けに行くかどうか、AIに訊いてたの」
俺が綾原に隠していた全てを包み隠さず暴露する楠森を止めたい気持ちはあったが、俺が楠森を止めようとすれば楠森の話が事実だと言っているようなもの。
本当なら楠森を止めて、自分の気持ちは自分の口で伝えたかったし、できることならAIの話も綾原に知られたくはなかったが、俺は楠森がしていることをただ眺めることしかできなかった。
「だっ、だからそれもなんで知ってるの⁉︎」
「永愛君が綾原さんを追いかける時にスマホを落としていってね。そのスマホを偶然私が拾って、開いていた画面を見てしまったの」
「……でも画面が開いていたって言ってもただ開いていた画面を見ただけだったらそこまで詳しくは知らないんじゃないの? 開いていた画面を見て気になった楠森さんが勝手にスマホを操作して、その内容を見たからそこまで詳しく知ってるんじゃないの?」
「そっ、それは……」
「そんなのダメだよ! いくら気になったからって人のスマホの中を勝手に見るなんて……。誰だって人に見られたくないものの一つや二つ、スマホの中には入ってるものでしょ⁉︎」
俺はスマホを落としたのは自分の責任だと思っていたし、何よりAI先生との会話を知られたことが恥ずかしくて楠森に注意をできていなかったが、こんな状況でも綾原は楠森を注意してくれた。
やっぱり綾原はすごい。綾原を好きになって本当によかった。
そんな綾原にだからこそ、俺はもう自分のしてきたことを隠さないと決めた。
「……そうね。綾原さんの言う通りだわ」
「……永愛君。今の話は本当なの?」
綾原から楠森の話の真偽を訊かれた俺は、真実を話し始めた。
「……ああ。全部真実だ。俺は綾原のことが好きで、綾原と付き合いたいと思ったけど今の自分じゃ好きになってもらえるわけがないし、かといって相談できる相手もいないからAIに相談してたんだ」
「………………」
綾原は俺が真実を伝えている間、ずっと俺と目を合わせてくれていた。
受け入れる方が難しい事実ではあるだろうが、それでも逃げずに綾原はずっと俺の言葉を聞いてくれていた。
そうして俺の言葉を聞き終わった綾原は、下を向き、無言のまま何かを考えているようだった。
そしてしばらくの無言の後、綾原は顔を上げた。
「せっかく探してくれたのにごめん。整理する時間がほしいのっ」
そう言って遊園地の出口の方向へと走り去っていく綾原を、俺はただ追いかけることしかできなかった。
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