〈Side 絵奈〉
約束の日の土曜日。
今日は3人でクレープを食べる約束の日だ。
待ち合わせの時間まであと5分。
鏡の前で身だしなみとかをチェックして、いってきますと言ってから玄関の戸を開ける。
待ち合わせは私の家の前。
「はよ、絵奈」
「おはよう、絵奈」
既に2人が着いてた!!
「おはよう!ごめん、待たせちゃった?」
「いや全然。余裕持ちすぎたなあ」
なんて言う武尊の私服がすごくおしゃれなんですけど!?
グレーのシャツにデニム。
カジュアルでシンプルなんだけど、それがまた良い。
っていうか、私服見るのすごく久しぶりかも?
「店混むかもしれないから行こ」
そう低い声で言った紘夢の私服もおしゃれ。
白いTシャツの上にデニムジャケットと黒いスキニーパンツ。
何でこんなにセンスが良いんだろう。
「あはは、紘夢、絵奈が可愛いから照れてるやん」
「照れてないし!」
武尊の言葉に紘夢の顔が赤くなる。
「わかるわかる、絵奈かわええもんな~」
「……置いていくよ」
ぼそっと言い、すたすたと歩く紘夢。
むすっとしててちょっと可愛い。
武尊と目が合い、私の耳元に顔を近づける。
「絵奈、その服似合ってる。めっちゃ可愛い」
と、目を細め、ささやくように言った。
「え、えっと、あ、ありが、」
「……何してんの」
超不機嫌な声が聞こえた。
紘夢がじとっとした目で私たちを見ていた。
「今行くよー」
「今行くでー」
やっぱり、嬉しいな。
昔みたいに、3人でいられて。
「俺らのおごりやから値段とか気にせんと、食べたいもの言うてや」
クレープ屋はまだそんなに混んでなくて、すぐに注文できそう。
とは言っても、どれも美味しそうだから選べない……迷う……
この前はイチゴスペシャル2種類食べたし、別の系統でいこうかな。
2つともめっちゃ甘い系だったらすぐお腹いっぱいになるよね。
クリームがないのとあるので食べたらいけるかな。
クリームがないのはフルーツ。
あとは一番人気ってあるクレームブリュレとか美味しそう!
「うーん……じゃあ、フルーツと、クレームブリュレにしようかな」
「わかった。紘夢決まった?」
「うん。武尊は?」
「俺も決まった。絵奈、注文しとくから先席すわっとき。列でき始めてる」
「え、そんな申し訳ない……」
「俺らが良いって言ってるの。早く行きな」
2人に言われ、席を探す。
ほんとだ、行列になりそう。
休日だし、行く人は多いよね。
前使ったところは既に埋まってる。
そうだなあ、あの日陰のところかな。
今日もあたたかいし、日向だったらクリームとか溶けちゃう。
武尊に席の場所を連絡して、椅子に座る。
……あ、椅子が2つしかない。
余ってる椅子ないかなあ。
でも、行列になりかけてたから他のところから椅子を取るのは良くないよね……
周りを見渡すと、椅子が重なってるところを見つけた。
あれなら使っても良い、よね?
あらかじめ置くスペースを作っておいて、椅子を運ぶ。
運び終えると、ちょうど紘夢と武尊が来た。
「あれ、絵奈どうしたん?」
「椅子が2つしかなかったからあそこから運んでたの」
「そうやったんや!?わざわざありがとうな」
「全然!2人に注文任せちゃったもん」
「テストに負けたんやからそれくらい当たり前や。な、紘夢」
「うん。ほら」
紘夢がフルーツのクレープを渡す。
ちょっとだけ熱い。
「ありがとう!」
紘夢が頼んだのはフルーツとアイスが入ってるクレープ。
武尊は前と同じ、スペシャル苺ホイップ。
私のもう一つのクレープはクレープスタンドに入ってる。
クレームブリュレのも美味しそう……!!
「中間は絶対に負けん」
「俺も。同率は嫌だ」
わあああ、早速対立しちゃってるよ。
バチバチ火花が見える……
「ほ、ほら、紘夢、アイス溶けちゃうよ」
すると、紘夢と武尊は同時に私を見る。
「絵奈、中間も対決しよ」
「教科増えるけど、絵奈にも負けん」
ええ……武尊の言う通り、中間からは教科が増える。
まあ、でも対決した方がモチベは上がる、かな。
「うん、分かった。私も負けないからね!!」
こうして、クレープを食べたのであった。
公開が遅くなり申し訳ございません。
精神の方は少しずつ回復してきたので、また少しずつ書いていきます。プラスしつこい風邪っぽいウイルスにかかってしまい、勉強が全くできてない状態なのでいろいろ忙しくなりますが、これからもよろしくお願いします。