近況ノートでは初めまして、火侍です。
こういう場所なので真面目に近況報告しますと連休真っ只中ですね、しかしこのご時世ながら来週から普通に仕事です。うう、世知辛い……。
さてさて、近況報告はこれまでにして今回の主題は『火侍のショートショート』に投稿された『COWARD』の補足です。こちらは現在連載中の長編小説『HALF』の連載一周年を記念して書いたお話です。記念で書く話じゃない。元々はとある作者さんの書くif短編が好きで、触発されて書きました。
タイトルの『COWARD』は直訳で『臆病者』という意味になります。サブタイの通り、とある臆病者を主人公にその末路を描いたお話になります。
さて、ここから先はネタバレ全開かつ蛇足と感じられる解説が続きます。読んでない方は『COWARD』を先に読んで頂くと幸いです。それでは、どうぞ!
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『臆病者』セナちゃん
・本編の主人公。HALF本編の2章でドロシーに攫われた先が、『ガンドライド』ではなく、ドロシーの部屋だと派生するルートです。
・攫われた後、2ヶ月近く延々と『鍵』について拷問され続け、そのストレスで髪は真っ白に。その間ドロシーが見せる異様な執着心を含んだ『視線』を浴びせ続けられ、対人恐怖症を患ってしまいます。人間や人をカタカナ表記しているのも、彼らに対する理解を放棄しているからです。
・不眠症も患い目の下のクマは真っ黒になるほど濃く、悪夢やドロシーを思い出すたびに取り乱して自傷するので爪はひび割れて真っ赤で顔中傷だらけ、極度の人間不信で『視線』を合わせないようにしているので濁った瞳には誰も映りません。不眠症の影響で常に酷い頭痛に見舞われ、他人と接する恐怖やドロシーの拷問のトラウマで吐き気と胃痛に襲われています。腰に届くほどまでに長かったお下げの髪をばっさりと切り落としていますが、心変わりしたことの証みたいなものです。何故か闇落ちしたキャラって髪型変えたがりますよね。
・拷問の中で何度も精神世界でパンドラに会いますが、この時の彼女はエリス絶対探すウーマン。そのため、もう一人の人格も協力する意思がないことを悟ると同時にとうとう誰も信じれなくなり、つい彼女の首を絞めて殺害してしまいます。この時現実でも精神世界でもゲロをめっちゃ吐いた。そして殺人を犯したことで精神が完全に崩壊。冒頭の悪夢はセナの崩壊した精神世界で、『視線』による恐怖に縛られ続けていることを意味しています。
・パンドラが死亡したことで、彼女の魔力が行き場を失いセナの元へ流れ込み、変身しなくても『災厄の魔女』の力を使えるようになりました。ただし、あくまで使えるだけで魔女として覚醒していません。瞳の色が黒のままなのはそのためです。パンドラとの会話の中で自分は記憶喪失ではなく、パンドラが肉体を移すために作られた器なのだと確信します。もちろん、それは間違いなのですがチサトちゃんに会っていないため、真実を知る機会は一生失われました。
・それからパンドラを失い、『鍵』の手掛かりを失ったドロシーはセナを解放。自殺する気力すら持たず疲弊していたセナをシルヴィアが拾い、シルヴィアが『大災厄』を引き起こそうしている目的を話し、セナも自分が穏やかに生きるために『大災厄』を起こして全人類を滅ぼそうという狂気的な計画を立て始めます。
・『HALF』のメンバーとは一度お世話になったことから「信じたい」という気持ちがあり、ユウやヒメコなら変わり果てた自分を見ても本物の絆を見せてくれるかと期待していたのですが、結局「仕方ないから助けられなかった」と言われてしまい、他の人間と変わらないことに失望して殺すことを決意します。こちらのセナちゃんは人間を殺すことに躊躇はしませんが、本質である『優しさ』と『思いやり』は残っているので、死体を見て吐いたり『HALF』のメンバーを苦しまずに殺すほどの良心は持ち合わせています。要は良心がめっちゃ歪みまくっってる。
・『災厄の魔女』の力こそ手に入れたものの、魔女として完全に覚醒していない(瞳の色が金色でない)ため、結局『箱』は開けられず見限られたシルヴィアに深手を負わされてしまいます。最後は何処からか現れたドロシーに首を絞められ、飼い殺しを宣言されてしまいます。全ての人間を拒絶していたその瞳に唯一映したのは、元凶であるドロシー……エモいでしょ?
シルヴィアさん(シルヴィア・フェザーストーン)
・恐らく今回のメインヒロインにして貴重な良心。ちゃんと活躍するのは2部からですが、先にイラストを頂いたこと、今回のお話が1年経ってるので先行登場させました。
・『禁断の匣』という組織のメンバーです。彼女らは『災厄の魔女』を信仰しており、特にシルヴィアさんはセナがパンドラの力を持っているという情報を聞きつけ、行き倒れていた彼女を拾いました。初めは素性も分からない女に拾われ、パニックになったセナはシルヴィアさんを殺そうとしますが、『大災厄』の話をすることでセナと利害が一致、協力関係になります。この時、『禁断の匣』を脱退しました。
・実はドロシーと繋がっており、度々セナの行動をドロシーに報告していた。最後にドロシーがいきなりやってきたのもその為。なお、ドロシー……というより魔女たち敵サイドに協力したり、『禁断の匣』から脱退していたりするのはこのルートだけです。本編ではドロシーのドの字も知りません。
・今回のお話でも言及されていますが、めちゃくちゃ強いです。ぶっちゃけ戦力的にはアヤメ様やジュリアさんより上。まあ二部で登場するからね、パワーインフレは仕方ないね。そもそも普通ナイフで人の首は落とせないので、あれも彼女の魔法の一つです。
・人並みの良心は持ち合わせており、セナの非道な悪事には胸糞悪さを覚えていた模様。とはいえ、元々彼女の信仰する宗教は概ね倫理観が欠けているので気にはならない。ただし、元々セナに対する不信感はあり、彼女が魔女として覚醒していないのは明らかであったため、見定めるという意味で協力していました。そのため、最後の最後までセナが覚醒しなかったので見限り、裏切りに走りました。とはいえ、最後の言葉通りセナとの付き合いはそれなりに良く思っており、本気で世界線が違えば友だちになれるかもしれないと思っていました。その発言が思いっきりセナの地雷を踏み抜いたので殺されてしまいましたが、それを知った上で発言したのだから性格はお察しください。果たしてこのセリフが本編を示唆するのかは……お楽しみということで!
ムネモシュネ
・本編だとパンドラガチ恋勢ヤンレズストーカー。こちらでもパンドラがいなくなったのにも関わらず何故かセナについてきたヤベー奴です。
・こちらの世界線ではパンドラを失ったため、本性はまだ見せません。ただし、自分の魔法でパンドラの記憶を取り戻せるのではないかと思っており、密かにその時を狙っていました。まあ、『その時』が来ることは一生ありませんが。
・恐らくこの話で最も暗躍している人物です。数多くの魔法少女の精神を粉々にしてきました。出てきてないだけで、傀儡と化したモブ魔法少女の数も少なくありません。
・本人自体は戦闘能力を持たないサポート型。そのため、最後の戦いでも無傷でちゃっかり生還しちゃってます。
・恋する相手(の依代)をドロシーに奪われてしまった彼女は果たしてどうするのか……。そこは本当に蛇足になるので書きませんが、恐らく碌な結末を辿らないでしょう。
リリアン
・可哀想な犠牲者その1。本編ではご存知の通りグレイのママ(ママではない)。
・セナたちが作戦を実行する頃には既にパンドラの噂は広まっており、リリアンを含めた世界中の魔法少女たちが調査に入っていました。その調査を利用して陽動作戦で『薔薇十字団』をおびき出し、リリアン以外のメンバーを殺害。目の前でグレイを失い、茫然自失となっていた所をムネモシュネの魔法によってグレイの記憶を消されました。
・基本的に対象の人物を消しても「そんな人知らない」程度で済みますが、リリアンの場合グレイへの依存が高すぎたが故に、彼女の記憶を失ったことでアイデンティティとそれを証明するための記憶が矛盾し整合性が取れず、精神が崩壊。廃人となっていた所をセナがつけ込み一員に加わりました。
・セナの命令通り大暴れして数々の魔法少女を殺害し、最後は『赤天』不知火火水風が投入されて捕縛。殺人罪により禁固刑を科せられ、無念にも自殺する目的は叶わなくなりました。きっと今でも牢獄の中ですすり泣きながら「誰かがいたはずなんです」「教えて下さい、私を救ったのは誰?」「お願い、殺して」と繰り返しているのでしょう。
古神ヒメコ
・可哀想な犠牲者その2。みんなのアイドル、メコちゃん。
・2章からの分岐であるため、まだセナにデレてなく呼び捨てです。とはいえ、セナを救えなかったことに責任感を感じており、なるべく思い出さないようにしていました。
・メコちゃんは変身すればあの拘束を解くぐらい造作も無いのですが、残念ながらセナのイベント絡みは全て発生していないため、独断で変身することはできません。
・本編で誘拐されたセナがパンドラとして覚醒するイベントは発生していないため、『HALF』もとい殆どの魔法少女がセナ=パンドラだということを知りません。
・最期はシルヴィアの手で苦痛もなく即死しました。セナの魔法だとじわじわと指先から腐らせていくものなので、もしセナの手で下されていたら死体も酷いでしょうし聞くに堪えない悲鳴を上げ続けていたことでしょう。セナが変わり果ててしまうほどの二ヶ月と苦悩した一年を思えば、それぐらいの復讐は果てしてもいいと思いますが、それでも実行せずせめて安らかに逝かせるようにと殺したのはセナなりの優しさです。全然優しくねぇ。
・実はセナの精神世界に現れる眼球はセナが殺してきた少女たちの目です。自責の念として具現しています。そのため、ヒメコを殺した日の夢に水色と紫色の眼球が出現しました。その日の悪夢は、最もセナが叫び暴れたそうです。
ユウさん
・可哀想な犠牲者その3。本編でのメインヒロインですが、今回はモブになってしまいました。
・セナが目覚めてから最初に会った人物であり、自分を助けてくれた人でもあるため、セナの中では一番特別視されていました。最も、ヒメコを殺害したことにより彼女を殺すことに躊躇がなくなりましたが。
・何だかんだユウさんならわたしを理解してくれると思いこんでおり、変わり果てた自分に疑念の目を向けられて、セナの最後の砦が崩壊。これ以上無いほどに取り乱し、心変わりする前に彼女を殺すことを決意します。
・信じられないと言っても、変わり果てたセナを受け入れることが出来なかっただけであり、彼女を救いたい一心でした。しかしその想いは叶うことなく、リリアンに敗北して死亡してしまいます。誰も救われない。
・実はユウさんはかなりの潜在能力を秘めているのですが、覚醒するにはセナが絡むイベントが必須であり、このルートでは全て発生しないため、リリアンに勝てません。それを踏まえると結構主人公してるんだなセナちゃん。
ヒスイさん
・まさかの出番なし。
・ただし、ユウの言及にもある通りこのルートでも大変な目に遭っていることが伺えます。
・こちらの世界線でもヒスイはリリスに会ってしまい、精神レ○プを受けてしまいます。彼女に関してはセナが関わろうが関わりまいが、必ず大変な目に遭います。ザ・不幸少女。
・詳しくは語れないのですがユウが「おかしくなった」と言っている通り、リリスにかなり侵食されているのかもしれません。少なくともセナを止めに来ない辺り、戦える状態ではないのでしょう。
・ただ、ユウもヒメコも死亡し、挙げ句『災厄の魔女』の正体がセナだったと二重三重にも凶報が続いたため、精神的負荷はとんでもないと思われます。
その他の魔法少女(『白い烏』や『ガンドライド』など)
・第一部三章までに登場した組織はセナたちの手によって壊滅しました。『白天』の雪葉や『紫天』のフィヨルギュンを手駒に加えなかったのは記憶を消してもリリアンほどの影響は見受けられなかったこと、アヤメ様とジュリアさんは『ガンドライド』は危険なテロ組織と攫われる前に聞いていたため、優先的に潰した形です。
ドロシー
・『あの女』こと今回のお話における全ての元凶ドロシーちゃん。
・2章でセナを攫うシーンで、『ガンドライド』に引き渡さず独断で誘拐すると臆病者ルートへ派生します。まさかの主人公側ではなく、この女一人の行動で分岐するという酷い仕様。
・前述の通り、シルヴィアさんと協力してセナをずっとストーキングしていました。パンドラを失ったことにより、『鍵』の手掛かりを完全に失い目的が達成できなくなりました。それならば、せめて彼女に縋って終わってやろうという身勝手な思いで付け狙っています。まあ、要するにセナのことが好きになった訳ですね(適当)。
・シルヴィアさんが見限ったことを合図にセナの前に現れ、彼女を飼い殺すことを宣言。そのままセナをどこかへ連れ去り、死ぬまで延々とセナは発狂寸前を維持されたまま拷問される日々が続きます。因果応報と言うには惨すぎる結末でしょうか。
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こんな所でしょうか!
ここまでお付き合いくださりありがとうございます。引き続き『HALF』本編の更新並びに来年の2周年記念回をお楽しみ下さい!
では、また~ノシ