こんにちは、柊月です。
改めまして、いつも私の小説をご覧下さっている皆様、いつもありがとうございます( ;´꒳`;)
皆様の応援があってこそ、今も執筆を続けることが出来ております。心から感謝申し上げます。
さて、令和元年最初の近況ノートということで、記念すべき活動報告を!
というわけでですね、現在連載中の「何故私が王子妃候補なのでしょう?」のフォロワー数150名突破&柊のフォロワー数25名突破の感謝を込めまして、小話を書きたいと思います!8888888
↓↓本編はこちら↓↓
https://kakuyomu.jp/works/1177354054887319965これは本編の方には入れません…………多分。
入れるとしても、本編が完結してから、または視点を変えてだと思います。
まぁプレミアム公開ということで………!
(そんなプレミアムって程でもないとは思いますが………)
前振りが長くなりましたが、最近殿下とジゼルの会話をやっていないなぁと思いましたので、小話はその2人を。時は第2章くらいです。
ジルフォード殿下推しの方には今の本編の展開は非常に申し訳なく思っています(苦笑)
………勿論、殿下にも申し訳なく思っておりますよ!(震え声)
はいはい、この辺にしておきまして。
それでは、短いですがお楽しみ頂ければ幸いです!
【閑話】君がずっと傍にいればいいのに《ジルフォード視点》
「リズ、お茶会をしようか」
「またですか、殿下」という彼女の心の声が聞こえてくる。口元は笑っていても目が笑っていないからバレバレだよ、リズ。
「はい、畏まりました」
断ればいいのに、リズは毎回毎回律儀に参加する。王族の開く茶会なんて、王命と同じで選択権なんてあって無いようなものだが。それが分かっていても、私はそうするしかない。全く格好悪い話である。
ここは王族専用サロンで、周りからは一切見えないように微妙な構図がとられている上、高度な結界が張られているため、いるかいないかの判別がつきにくいのが特徴だ。
さて、今日はリズにオレンジティーを出してみる。
ストロベリーティーは中々お気に召して頂けたようだから、今回も美味しく飲んでくれたら何よりだが。
お、好感触のようだ。目元がゆるりと下がっている。
私の存在を忘れ、目の前のお茶に釘付けになるリズを、微笑ましく観察する。大きく目を見開いたと思ったら、花を咲かせるようにニコニコ笑うあどけない様子に、私は何度貴方を欲しいと思う事だろう。
はっとした彼女は、錆び付いたブリキのようにこちらを向いて、「なんでもありませんわ」と淑女の笑みを浮かべてしらを切る。そんな様子も可愛らしくて、おかしくて、どうにかなってしまいそうだ。
「殿下、ところで他の方は……」
「いないよ?それがどうしたのかな?」
その刹那リズの口元がピクリと動く。
見ていて分かったのが、リズは動揺すると右の口の端が僅かに痙攣したようになるみたいだ。よくよく観察しなければ分からない程度で、しかもかなり動揺させないと現れない現象なので、見ることが出来た時には思わずにんまりとしてしまう。
リズの事だ。何が何でも逃げようと画策するだろう。
ではまず彼女の懸念を潰しておこうか。
「大丈夫。ここは外からはよく見えないからね」
恰も「どうしてそんなことを仰るの?」とでも言うように、微笑みながら首を傾げるジゼル。
「……ところで殿下、これはグラヴィー、ですね」
「そうだよ。気に入って貰えたかな?」
「えぇ。香りもフルーティーでオレンジとよく合っていてとても美味しいです。……この茶葉はどちらで摘まれたものでしょうか?」
急に紅茶のブランドを出したと思いきや、こう来るとは。リズならばこれがグラシエ公爵家のブランドだと知っているだろうに。
「………ふふふっ、何処だろうね?」
「殿下………」
敢えてはぐらかす。
リズ、引き出したいならもう少し上手くやらなくちゃ。
その淑女の笑みの裏で焦っているのが目に見えて、クスクスと笑いが零れてしまう。
「………因みにフリージア嬢だけど」
リズが食いついたのが分かった。
「主幹に呼ばれているようだよ?」
「そうでしたか………」
声色が若干暗くなる。
リズは淑女として完璧そうに見えて、注意深く観察すると、感情豊かで素直で結構分かりやすい。私に媚びず、コロコロと表情を変え、私に反抗してみたり、捕まえようとすると逃げたり。全てが新鮮で、楽しいと思うが、その一方で、簡単に絆されてくれない所は寂しく思っている。
そんなに嫌かい?私の事が。
そして不意に思い出す。
「―――――花、ね」
初めて会った時、リズは私に群がるKY令嬢達を花に例えた。それは可憐で美しいものの象徴であるが、KY令嬢達には似合わない。
只リズにも似合わない。彼女は動かずじっと待っているようなタイプでは無いからだ。
「お茶に付き合ってくれてありがとう。楽しかった」
急展開に疑問符を浮かべている目の前の愛しの友人に微笑み掛けた。そのまま淑女の礼をして去ろうとする背中に思わず手を伸ばすが、『友人』という言葉が枷になって邪魔をする。そのままさ迷った掌は、空中を切って下ろされた。
「さて、どう蝶を捕まえるか、ね」
ジゼル=ウェリスという名の蝶を捕まえるのは容易ではない事はもう既に分かっている。蜜を置いても寄ってこず、道具を使っても逃げられ、只目の前にふわふわと漂っているだけだ。まるで人参を釣られた馬の気分になる。
自由の羽をもいで自分だけの物に出来たらと思った。
そして縛り付け、取り返しのつかない事になりかけた。
正当法は苦手だ。
昔は真っ直ぐだったが、あれからもうさっぱりである。
腹の底を読み漁り、不意を突く。それがいつしか当たり前となっていた。
正当法で落とさなければ意味が無い。それは分かっている。
だが、密売人に美しい蝶が目をつけられている今、それは使い時では無いかと、返って好都合だと、無理繰り考えているのも事実だ。
どうすれば大切な者を護れるか。
どうすれば繰り返さずにすむのか。
どうすれば昔にケリを付けられるのか。
その覚悟をした時、2杯目の紅茶からオレンジが引き上げられた。
読んで下さりありがとうございました!
これからも柊共々よろしくお願い致します!
柊月