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197話の補足

核融合反応について、本文に入れなかったものについて補足しておきます。

今回出てきた核融合反応は水素原子4個と酸素原子1個がひとつの原子になってしまうという反応です。これは太陽で起こっている反応ではありません。いや、起こっているかもしれませんが、少なくともメジャーではありません。

で、熱量について正確に書いておくと、
質量数1の水素原子1個の質量が0.1673×10^-23 kg
質量数16の酸素原子1個の質量が2.6560×10^-23 kg
この水素原子4個と酸素原子1個の合計の質量は
(0.1673×4+2.6560)×10^-23=3.3252×10^-23 [kg]
になります。
このあと、核融合して(一度マグネシウムを経て)ネオンになったとき
質量数20のネオン原子1個の質量は3.3197×10^-23 kg
であり、ちょっとだけ軽くなってしまうのです。

この現象が質量欠損であり、失われた質量が熱(エネルギー)に転換されます。
その熱量はアインシュタインの有名なE=mc^2で求められます。この式って見たことあるけど何に使うか知らなかったよ、という人は覚えておいてくださいね。この式は、質量とエネルギーが等価であることを示す式です。

Eが熱量、mが失われた質量(3.3252-3.3197)×10^-23=0.0055×10^23 [kg]、cが光りの速さでここでは簡単のために3.0×10^8 m/sとします。代入して、
0.0055×10^-23×(3.0×10^8)^2=4.95×10^-10 [kJ]
つまり、この反応でネオン原子が1個生じると、4.95×10^-10 kJのエネルギーが生じるということです。

ここで仮に1 gのネオンが生じたと仮定すると、その原子の数は3.0×10^21個にもなります。つまり、
4.95×10^-10×3.0×10^21=1.485×10^12 [kJ]
およそ1.5兆kJの熱になります。

本文にあんまり丁寧な計算をやるのもどいうかと思ったのでかなり簡潔にしてしまいました。

核融合は鉄原子ができるまでは発熱反応です。
鉄よりも原子番号が大きな元素ができる場合は吸熱反応になります。
逆に鉄よりも大きな原子の核が分裂する(壊れる)と発熱します。
一般に言う原子力はウランなどの鉄よりかなり大きな原子を分裂させて発熱させる核分裂反応です。

データが違うとか計算間違いなど何かお気づきがあれば教えていただけると助かります。

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