連載していた『呼子鳥』、本日完結しました。
最後までお付き合いいただいた皆さま、本当にありがとうございました。
今回の話を書き始めたとき、中心にあったのはとても単純な疑問でした。
同じ場所で、同じ声を聞いたはずなのに、どうして人によって「聞こえた方向」が違うのか。
山で聞こえた奇妙な声。
十五年前にも聞かれていた声。
そして、葉月の母が亡くなる前に聞いた「おかあさん」という声。
それらを追いかけていくうちに、音の話は山の中へ、さらに地面の下へと広がっていきました。
途中からは、なぜか地震の観測まで関わってきます。
もちろん、地震そのものを扱った物語ではありません。
けれど、山で聞こえた「声」を調べるためには、耳に聞こえるものだけを追いかけていても足りなかった。
では、誰も呼んでいないのに聞こえた声は、どこから来たのか。
そしてもう一つ。
この物語を書いているうちに、「何が鳴いたのか」だけではなく、人は、正体の分からない声を聞いたとき、なぜその向こうを見ようとするのかという話になっていきました。
呼子鳥というものがいる。
いや、正確には、あるというのか。
物語の冒頭に置いたこの言葉も、最後まで読んでいただくと、最初とは少し違って見えるかもしれません。
怪異なのか。鳥なのか。山なのか。
それとも、まったく別のものなのか。
今回も高梨汐音と高梨涼真に登場してもらいました。特に汐音先生には、「音」をかなり真面目に追いかけてもらっています。
完結まで書き切ってみると、私自身、最初に考えていた「呼子鳥」とは少し違うところへ辿り着いた気がしています。
まだ読んでいない方も、途中までの方も、よろしければ最後までお付き合いください。
――声のした方に、何があるのか。
それを確かめる物語です。