ガルーについてあれこれ少し

ザイロウ鎧獣騎士伝のガルー、動物の姿をした武具。身に纏うと人獣(ライカンスロープ)になるってやつですが、これはまあ、パワードスーツですよね。
仮面ライ○ーア○トに出て来るG3みたいな。

何でそんな発想にしたかと言うと、前々から、小説におけるパワードスーツや搭乗ロボットの扱いって不満があったんですよね。

モビルスーツみたいなロボものって、魅力のひとつはビジュアルにあると思うんですが、文章だとそれがどうやっても伝わらない。
例えば
「全身は白を基調としながら、赤や青のトリコロールで構成されており、頭部にはV字の角飾りに似たアンテナが立っている。マッシブさよりもスマートな体型は、どのモビルスーツよりも人型を連想させ、軽装の鎧武者のようにも見える姿は、正に連邦の最新鋭機そのものだった」
と書かれても、頭に浮かぶビジュアルはまちまち(私の文章力の低劣さはともかく)。これは最初のガンダムを描写してみたのですが、多分、ガンダムという存在を全く知らなければ、どれだけ文章力が巧みだろうと、ガンダムのビジュアルの魅力は十全どころか半分も伝わらないと思うんですね。

小説はイマジネーションを喚起するものだし、無粋な考えかもしれませんが、それでも、そもそも論として、ロボものやパワードスーツものの魅力の大きな部分はビジュアルにこそあると思うのに、文章では表現出来ない。多分逆立ちしてもそれは無理だろうと思う。
誰も見た事のない最新のスポーツカーをいくら文章でビジュアル表現しようとも伝わらないのと同じです。百聞は一見にしかずというより、百聞は無駄というか。

でも、何とかそれを文章のみで伝える術はないか。

そう考えた時浮かんだのが、ザイロウのガルーでした。

つまり、見た事のないものを表現するのではなく、見た事のある「何か」を媒介にして表現する、というものです。

狼、そして狼男や人狼なら、狼頭人身と書けばある程度は皆、想像は浮かぶでしょう。
想像のカタチは千差万別あっても、全く頭に浮かばない事はないはず。

同じように虎の人獣、ライオン、馬、と書いても、ある程度は想像がつくはず。牛ならミノタウロスと書けば、ファンタジーの素養さえあれば想像は更に容易ですし。
動物、人獣をパワードスーツ的にすれば、ビジュアル表現を文章で表せる!
そう考えてガルーというアイデアをカタチにしました。

既存の人獣ものと違い、変身せずに動物を身に纏うとしたのは、パワードスーツ的な発想からきてるもので、異形になってしまうのではなく、「人間のまま」脅威的な力で戦闘をする、という表現にしたかったからです。

ま、もともと、私自身、ライカンスロープは好きなネタだったってのもありますが……(苦笑)。



ちなみに、ガルーという名称は、「ガルルル」とかの吠え声からきてるわけではありません。(そう思われてるのだろうか…)

これは人狼のフランス語ルー・ガルーからきています。
ルー・ガルーのルーは、もともと定冠詞のルーで(theとかaとかと同じ)、古フランス語ではルーを抜いたガルーこそが本来の獣憑きとか狼憑きの意味だったとか。だったら、これをそのまま鎧獣のアテ字にしようと考えたわけです。
なので、ガルーリッターのアルファベット表記は、

「Garous Ritter」

となるでしょうね。

以上、設定の裏話でした。

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