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しげ・フォン・ニーダーサイタマ
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2021年7月4日 20:37
銃と甲冑の話
Twitterの方で流した内容ですが、銃器に対応していく甲冑の変遷です。
未対応:
https://khm.at/objektdb/detail/372707/?offset=188&lv=list#.YOEhwNzCoiE.twitter
対応初期:
https://khm.at/objektdb/detail/372747/?offset=118&lv=list#.YOEh3s1QnKw.twitter
対応完了:
https://khm.at/objektdb/detail/372799/?offset=97&lv=list#.YOEiCzrja4A.twitter
最終的に流行ったスタイル:
https://khm.at/objektdb/detail/372052/?offset=144&lv=list#.YOEiJl1SzSM.twitter
様式がそれぞれバラバラなのは申し訳ないですが、注目すべきは胴鎧の形状です。未対応型は球形の胸を持っていますね。これは打撃や矢を逸らす効果、そして衝撃を内臓に伝えない効果があります。クルトとルルが着用しているのはこのタイプです。ルルは豊かなバストが詰まっていて後者が機能するのかは疑問ですが。
対応初期型は未対応型から中央に峰を打ち出した形ですね。後世の言葉で避弾経始と呼ばれるものがつきました。傾斜を付けた鉄板は、垂直に当たる時よりも斜めに弾が当たった時の方が見かけ上の鉄板の厚みが増し、さらに弾が滑りやすくなるという概念です。しかしまだ傾斜が甘く、銃と「盾と矛」の競争をしている最中である事が伺えます。
対応改良型は胸が四角錐型になり、傾斜も激しくなっています。銃弾に対する防御効果はここが到達点です。ヴィムが製作したのはこのタイプです。1人で30年くらい時代進めやがったアイツ。クルトが思っている以上に凄い奴です。
最後に最終的に流行ったスタイル。四角錐の頂点が時代を追うごとにだんだん下がっていくのですが、これは防御効果を狙っての事ではなく、当時のファッションを反映した結果だと言われています。最終的に下腹部まで頂点が落ちて落ち着きます。16世紀後半ごろに描かれた甲冑着用の肖像画は、だいたいこのタイプの甲冑を着ているのでそういう視点で見ると楽しいかもですね。
と、こんな感じで見ていくと「銃が甲冑を廃れさせた」「銃が騎士を没落させた」という論は十全に正しいとは言い難いとわかると思います。甲冑は銃に対応して進化し、騎士はそれを買い求め、それどころか自分たちも銃を使うようになっていきます。この辺は本編で描写しましたね。異世界転生して銃作ったから無双出来るぜ!とはいかないのです。現地人どもはいずれ対応して来ると思いますので、異世界転生される諸氏は念頭に置いておきながら楽しい異世界ライフをお楽しみ下さい。
しげ・フォン・ニーダーサイタマ
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