いつもだぶんぐる作品をお読み下さりありがとうございます。
またまた遅れですが今週はサポ限を1話公開しました。6000字でお許しを。
『Vオタ』の19てぇてぇのノエ様スープ持っていったお食事会のお話です。
春から職が変わることになり、とてつもなく忙しく、更新滞るかもですががんばって書くので応援していただけると嬉しいです。
出来るだけ楽しい作品をお届けできるよう頑張っていきたいと思いますので、今後ともだぶんぐる作品をよろしくお願いいたします。
以下は、いつも通り今回のサポーター限定SSの一部です。
サポーターどうしようって迷っている方は参考にどうぞ。
本当に無理して入る必要はないと思いますので後悔ないよう参考にして下さい。前半だけでも楽しんでもらえたら嬉しいですー!
『VオタSS』『Vオタ』を取り巻くVtuber達の話(19てぇてぇ裏・お食事会編)前半
「えーと。では、お召し上がりください」
「「いただきまーす!」」
「「いただきます」」
本日も姉さんの家でお食事会が開かれている。
当の姉さんは無表情だけど。
ここのところずっとお食事会だ。
原因は絶対コイツ。
「ん? なんスかあ? センパイ?」
ほっぺたパンパンにして好物のハンバーグを食べているガガ。
ワルプルギスに転生してきてからは結構な頻度でウチに飯を食いに来ている。
『いやあ! 転生して、一人暮らしを始めることになりましてね! やっぱちょっと食事面に不安がありまして、センパイのお力を借りれないかなーと!』
料理を教えるという話だったはずなのに、いつの間にか、俺が作るだけになり始めている。
こうなると普通、姉さんは不機嫌になるのだが、
「うてめ先輩、これ、今日の品です。お納めくださーい☆」
「これは……! 累児のスーツ姿新ポーズバージョン……! あ、ありがとう……!」
買収されていた。
俺のフロンタニクス時代の画像によって。
「ていうか、なんで俺をそんな盗撮してんだよ」
「へ!? あ、いいいや、あれですよ。なんか困った時に弱み握れないかなーと」
「お前なあ!」
瀬川さん天堂さんの間はあんなに謙虚で尊敬してくれてたのに、ほんと性格が変わってしまった。いや、遠慮がなくなっただけなんだろうが。いたずらっ子が前面に出始めていた。
いや、配信では最高に面白いんだけど。
「へーへーへー、ガガちゃん、そんなにルイジの画像持ってんだー。ほんとにそんな目的なのかなー? えっっっな事に使ってんじゃないのー?」
「つかわねーよ! こほん、エロ鬼婆じゃないんでそんな事には使いませーん」
「誰がエロ鬼婆だこらあ! じゃあ、ツノさんはえっっっな事に使うからよこせ!」
なんでだよ。なんに使うつもりだよ。
「ツノ、ほんとにやめさない。っていうか、ごはんの時くらい静かにしなさいよ、あんた達」
ノエさんが落ち着かせてくれる。こういう時のノエさんはほんと頼りになる。
「ノエさん、ありがとうございます」
「べ、別に……ごはんは味わって食べた方がおいしいでしょ」
「ですね。ノエさんのスープ美味しいです」
「レシピがいいのよ。だって、これもノエの為に豆腐ハンバーグにしてくれてるし、おいしいし」
ノエさんがそう言いながら、俺が作ったノエさん専用豆腐ハンバーグをよく噛んで食べてくれている。ほんと、そんなに気にすることないのに。配信する為に健康的な体重から考えるとノエさんは丁度いいくらいだと思うんだけどな。
「協力してご飯を作るっていうシチュに酔ってるツンデレちゃんがいますよ、ツノ先輩」
「ノエ様専用ハンバーグって響きに酔ってもいるよ」
「ああああんたたち! ちょっとは静かに食べなさいよ!」
「はーい、じゃあ、ノエ様の汁いただきまーす」
「スープって言って! もう!」
顔を真っ赤にしたノエさんに怒られながら、ツノ様達がスープを口にする。
ツノ様とガガは本当にノエ虐好きなんだなあ。
「あ、うま……」
「で、でしょ! だって、るいじ!」
「いや、本当に美味しいですよ。ノエさん、料理お上手ですよね」
「ま、まあね! 一人暮らしも長いしね! あ、で、でも! まだるいじにはかなわないけど!」
「いやいや、十分ですって」
俺がそんな事を言ってると、ガガとツノが神妙な面持ちでスープを置き、
「ツノ、料理、デキナイ」
「ガガモ、料理、デキナイ」
なんで急に片言? まあ、ガガはサイボーグキャラで行くらしいから、そういうアクションがあっても面白いけど。っていうか、ツノ様ヘラってない!? 早いなもう!
「ま、まあ、最初は、カップ麺やレトルトカレー、なんだったら、デリバリーのアレンジとかからでもいいと思いますよ。あとは、色どりとか栄養バランスを考えて注文するとか。それで、徐々にプラス一品とかしていって最終的に料理を作れるようになればいいんじゃないですかね? 一番よくないのはいきなりしっかりした料理に挑んで凹んでもうやらなくなるとかですから」
そう。料理の諦めは、料理が出来なかったことに対する落ち込みだと思う。
その点アレンジやちょい足しは料理初心者にお勧めだ。
まず、失敗が少ないし、その上で、調味料とかトッピングの量から学べる。
まあ、料理ベタ配信もおもろいからうまくならずにってのも勿論ありだけど、たまに、ガチで凹んでる人がいたりするから料理上手くなりたいVにはこれをお勧めしてる。
「なるほどねー」
「っていうか、ガガはお母さんが料理できるんだから教えて貰えよ」
「だって、ガガママ厳しいんですよー! ルイジさんはあんなにできるのに、なんで貴女はって」
「「ちょっと待てい!」」
某番組のボタンのようなセリフでツノ様とノエさんが割り込んでくる。
「どしましたー?」
「なんで、ガガママとルイジが知り合いのなの?」
「あー……ガガがお願いしたんですよ。センパイのご飯食べたいって。そしたら、センパイがレシピ教えるからやってみろって料理配信もいいぞって。んで、ウチ来てもらって料理指導を。そしたら、ガガよりママとセンパイのほうが盛り上がっちゃって」
そう。ガガからお願いされたのだ。俺の料理が美味しいと評判だから食べたいと。
だけど、その頃には、マリネの世話も日常になり始め、更にウチに来るようにもなってて……。仕方がないので、ガガの家で教えるという話で納得してもらった。実家だし、親とかいる時間なら安心だろうって。それで、ガガのママさんと会って話をしている内に料理の話で盛り上がったのだ。
「ガガママ、栄養士の資格持ってて。すっげー勉強になりました」
「「ふーん」」
ツノ様とノエさんが口をとがらせている。かわいい。
そのまま二人揃ってスープを口に運んでいる。かわいい。
「とゆーわけで、まあ、センパイはウチのママ公認なんですよ」
おい、ガガ。紛らわしい言い方するな。それだと婿みたいになるだろ。
あと、俺の皿に人参を寄せるな。食べろ。本当に。
「ルイジ、ウチのお父さんにも会ってよ」
「るいじ、あたしの所のママにも教えてあげて。ママ絶対喜ぶから」
二人が親に会うようにすすめてくる。いや、正直、ご家族の方のVへの理解は重要だから話させていただきたいのはやまやまだが、今は、俺ただの同僚の弟と言う立場だ。流石に無理だろう。
「あー、そういえば、センパイの所のご両親ってどんな方なんですか? うてめ先輩とセンパイのご両親だからさぞかし凄いんでしょうね」
「確かに」
「それは分かる」
なんでや。ガガの発言にツノ様とノエさんも頷きながらハンバーグを食べている。
「ウチ? 普通ですよ。ねえ、姉さん?」
「そうね。至って普通だと思うわ」
姉さんは黙々と食べている。
『累児のを味わっているから』という恐怖の省略文だが、ちゃんと噛んで味わっているので何も言えない。もうこの場合、ちゃんと噛んで味わってるもなんかちょっと恐怖だが。
「いやいやいや、至って普通で、この姉弟は生まれないでしょ」
「そう言われてもな……マジで普通だからな」
「まあ、割と放任主義で自由にやらせてもらえてるわよね」
「ああ、まあ、確かに。俺が声優やVにハマっても気にしてなかったし」
「私が声優学校に行くのも、Vtuberになるのも許してくれたしね」
そう。姉さんの言う通り、強いて言うなら放任主義というところだろう。進路に関しても何も意見することなく、いや、提案とかはしてくれたが、それも理由固めって感じで、そうだな、聞き上手な両親でもあるかもしれない。
「まあ、確かにキャパ広そうですね……センパイのあのVグッズまみれの部屋と」
「うてめのるいじまみれの部屋を受け止められる時点でね……」
そうだった。俺のは趣味部屋だが、姉さんのあの異常な弟愛溢れる部屋を許す両親だった。まあ、どんどん進化していく姉の部屋に苦笑いはしていたけど、放任してた。
「でも、ツノのところのお姉ちゃんがツノにハマってたら嬉しいかなー。でも、他の何かに興味が映った瞬間ヘラるかも……あ、やばい……なんか悲しくなってきた」
「「なんでだよ!」」
今度は、ガガとノエさんがツッコむ。この三人、意外と相性がいい。ノエさんの負担が大きい気もするが。
「想像でなんないでくださいよ!」
「この子めんどくさいわね!」
「はい、めんどくさいは地雷ー! ヘラりまー」
「ツノ様、いちごプリン食べます?」
「食べりゅう~、わあい、かわいいー」
「「即おち二コマじゃねえか」」
いちごプリンをもきゅもきゅ食べる四人だった。かわいい。
「そう言えば、皆さん、ツノ先輩じゃないですけど、ヘラったりするんですか? そん時どうしてます?」
(以下、後半に続く)