どうも、打ち切り詐欺を繰り返す鳥海です。また今回もいったん打ち切りを宣言します。
なぜ前回打ち切りを宣言しておきながら第四部をスタートさせたのかというと、三部までの間に重ねた伏線をどれも収拾していなかったという問題がありまして、この長いシリーズを読んでいただいている読者のためにも一つくらいはまとめておこうと、一部から名前が出ていたアンチェインの物語にけりをつけた次第です。しかし、四部になってさらにまた新しい伏線が出てきたっぽいですね。本当に散らかしっぱなしで申し訳ないです。
さて、第四部は本当は去年の内に完結する予定だったのですが、都合により脱稿が遅れてしまいました。まず理由の一つに、「面白い話」を書くか「簡潔な話」を書くかでかなり苦慮したところがあります。元々の構想では第四部は完成稿よりも短く、またまとまった話だったのですが、それだとまるで完成のために執筆しているようで、読者の時間を割いてもらってまで読んでもらう価値のある話だとどうしても思えなくなってしまったのです。そこで、プロットを洗い直し、登場人物の役割を変えるという紆余曲折を経て、現在の形に収まった経緯があります。結果、「簡潔な話」を拒否するに至ったのですが、それが面白かったかと問われれば、自分でも手探りが過ぎる物語だったといえます。読者の中には共感に欠けると思われる方がおられるかもしれません。
また、今回の物語のコンセプトやテーマの難しさも、脱稿の遅れに影響することとなりました。これまでは何かしら苦い結末ではあったものの、ベースにあったのは勧善懲悪の物語でした。弱者に寄り添うクロウの物語が軸になっていたのですが、第四部はアンチェインという最強の戦士に寄り添う物語になっています。守る必要がないものに寄り添うヒーロー、これは中々描くのが難しかったです。描いたとしても、読者にいったい何を残すことができるのだろうか。これも上記のように、共感に欠けてしまうのではないかと、執筆途中に幾度も懸念していたことでした。
脱稿して思うことは、今回の物語の主題となったのは過ぎ去りし時代と、そのはざまで揺れる人間というものでした。白か黒かで割り切れない、如何ともいい表しがたい時代で揺れる登場人物たちの物語、未来の人間がふり返り愚かだと断罪するのは簡単だけれども、しかしそこにあった心の機微には、何かしら着目すべき、もしくは手向けとしてかけるべき言葉もまた存在するのではないか。クロウの旅が手探りなものだったように、作者自身が手探りで一番揺れていたのだと思います。
人物紹介
クロウ
執筆してて感じたことは、今回のクロウは“若い”ということです。多分、ロッキードという豪傑の側にいたことに加え、これまでのシリーズの中で回想ということもあって、比較的若い時代のクロウだったので、モノローグや台詞にとげとげしいところがあったように思います。いつものクロウだと読者が思われるなら、何とも返す言葉がございませんが。
ロッキード・バルカ
モデルは不世出の柔道家、木村政彦です。それに喧嘩最強と業界では名高いプロレスラーのキング・ハクも入っています。混とんとして、且つおおらかだった時代に、常識はずれの頓珍漢な生きざまで伝説となった男という位置づけです。もちろんそんな時代には多くの間違いがあったはずなのですが、そういった時代にこそ生まれたもの、そして今の時代の礎となったものだってあるのではないかと著者は思っています。ロッキード・バルカはその象徴として登場させました。しかし、捉えられない時代の象徴を描くということは、キャラクターとして捉えられないものなので、書くに至ってはまぁ苦労しました。未だに他にやりようがあったのではないかと思っています。
ロッキードの最期にもいろいろ紆余曲折がありました。実は本当にクロウに殺されていないだとか、何パターンか考えて今回のものを採用しました。
CVは玄田哲章です。
クロック
外見上のモデルはマイケル・キートンです。人物上のモデルは戦後に執念を持って成り上がった力道山だったのですが、原型は跡形もなく消え去りました。
このキャラクターほど、今回私を苦しめたキャラクターはいません。いや、勝手に苦しんだんですが。出自も末路も幾度も変わり、元々はロッキードの旧友だったり、物語の序盤に殺害されたり、最後まで死ぬことは無かったり、何パターンも考えその度に結末も変わりました。そしてこの結末だったのですが、果たしてこれでよかったのかと……。
メロディア
メロディアはクロックやロッキードに合わせて変化していきました。当初は彼女は本当にロッキードだけを始末するつもりだったり、ロッキードを始末しに出向いたり、彼女もやはりいろいろと変化しました。
リーガル
外見上のモデルは『T-34 レジェンド・オブ・ウォー』に出てきたナチの将校です。ものすごい緑色の目だったので印象深かったです。そしてテコ入れキャラクターです。やはりバトルものの要素が欲しいというところがあり、クロックやメロディアを最後に置くとどうしてもしまりが悪いので登場してもらいました。彼もまた紆余曲折を経ておりまして、当初はクロウと同じ転生者の子どもだったりと、いろいろプロットを練り直した経緯があります。いい加減、転生者の物語に進展が必要だと思い、彼は転生者になった次第です。
CVは若本規夫です。
マーティン
外見上のモデルはエメリヤーエンコ・ヒョードルです。元々は彼がクロックの役割だったりしたのですが、分裂してこうなりました。
ヘイロー
モデルは「ガキ使」でおなじみの世界のヘイポーです
フラン
モデルはWWEの女子選手、ベッキー・リンチです。
伊雅辰馬
一部で源馬が、三部で駿河月堂が登場して、今回ついに双竜の一角を成す伊雅辰馬が登場しました。彼らリザードマンの国で一体何が起こったのか、その因縁がクロウとどう関係するのか。書かれるかどうかは作者次第です。
マテル
読者のご想像にお任せします。しかし、多分どれでもないと思います。
ディアゴスティーノ
全国2,3人のディアゴスティーノファンの皆さん、申し訳ありません。今回、ディエゴは登場しませんでした。一応、彼の外伝も構想中です。
ユーキ・マツシタ
ネタバレですが、前もって言っておくと、クロウの父親はまだあの世界にいます。
では、次のファントムの登場まで今しばらくお待ちください。コメントでも書きましたが、この物語はクロウの股旅もの、吟遊詩人を軸とした事件、そして転生者にまつわる物語の三つの軸で構成されています。今のところ、転生者の物語にケリがつくのが……第8部くらいなので本当に気長にお待ちいただければという感じですね。申し訳ありません、構想ばかり巨大で……。