自作小説『植物人間の救い方』が完結いたしました。
⇒https://kakuyomu.jp/works/16816700426970597473
ここまでご愛読していただいた読者の皆様にこの場を借りて感謝申し上げます。
まあここではあとがきのようなものを書いていこうかと思いますので未読の方はまず本編の方をご覧になってからでお願い致します。
この作品を初めて書いたのは恐らく三、四年ほど前でした。当時は一万五千字程度で、夏と冬と春のみを描いた短編小説でしたが、カクヨムでの評価と、友人からの希望もあって長編作品として書き直すことになりました。
当初長編作品にする当たって、各季節を一万字毎くらいに設定して、玲が新世界でどう生き、どう死ぬのかまでを描こうと思っていました。それこそ最後に拾い上げた赤ん坊がどう成長していくのかなどの構想もあり、玲がどう彼らと人類再興の道を辿るのかに焦点を当てていました。
しかしその予定を大きく覆してきたのが作中の秋に登場した「絵里香」と「優里」の存在です。
絵里香の名前は花のエリカから取っており、エリカの花言葉は「孤独」と「寂しさ」。そして同種のジャノメエリカの花言葉が「裏切り」となっています。その花言葉通り、絵里香は玲の物資を奪うために玲と出会ったというのが当初の予定でした。
しかし思いの外良いキャラとして、作中で活躍し始めた絵里香をただの捨て駒として扱うのにはもったいないと思い、劇的な死を与えることにしました。
当初から玲が唯一の旧人類種として新人類種になりうるであろう赤ん坊を拾い上げるという設定は絶対であったので、絵里香の死は必然でした。そこはもう仕方なかったのですが、思った以上に絵里香という存在が自分の中で大きくなってしまっており、玲が絵里香を見捨てて、一人で生きていくことが想像できなくなっていました。
そこで生まれたのがアナザーエンディングということになります。本来小説でルート分岐なんてありえないという考えではありましたので、書くだけ書いて投稿しないという手もありましたが、あれも一つの完結としてまとまっていると思い、「´」をつけて投稿させていただきました。
まあそんなこともあり、本来短編では描写していなかった「秋」という季節が膨れに膨れ上がり、このような結果になったと言うことです。
この作品は多くのゾンビ物に影響を受けているというのは作中で、玲がそれらを言っている通りご理解いただけているかと思います。ですので作中の至る所で、名作のオマージュをしているシーンがありますので、それを探していただくのもこの作品の見所かなと思っています。
私は本来設定や序盤ばかり思いつき、完結させることが出来ない性なのですが、この作品を完結させることが出来たのは、私の遅筆に目をつむり、ここまで読んでくださった読者様のおかげであることは確かです。
改めて感謝を申し上げます。ありがとうございました。
この記事で先述した通り、玲の物語と言うのは設定上まだまだ続きます。しかし未来を書く前に、作中で登場した悟と玲の間に何があったのかが全くと言っていいほど書かれていないことが気になった方もいるかと思います。
そこで不定期にはなりますが、数週間のお休みを頂いたのち『植物人間の救い方 前章』を同作品内で新章として公開していく予定ですので、まだまだ玲の活躍が気になると言う方は是非お付き合いいただければと思います。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。